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ズバリ言うわよ! 出演者細木数子(故人) その他 コメント 『ズバリ言うわよ!』は、2004年8月10日から2008年3月11日まで、TBS系列で火曜日の21 00-21 54に放送されていた人生相談バラエティ番組・教養番組である。 出演者 細木数子(故人) ミカルゲorダークライ:怖さと迫力重視。どくどく(毒舌)/バークアウト(あんた死ぬわよ!) 必須。 ダーテング:高飛車な雰囲気。毒に弱い(下品な物や下ネタが大嫌い)ので。 ガマゲロゲ:見た目。 その他 ミロカロスorボルトロス:滝沢秀明 こちらのページから。 ディアルガ:上田晋也(くりぃむしちゅー ) パルキア:有田哲平(くりぃむしちゅー ) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 登場人物 -- (名無しさん) 2017-10-11 07 37 08 草案 主なコーナー アルセウス:運命のカルテ ♀のみのポケモン全般:女100人幸せ白書 メガサーナイト:嫁入り前の常識スクール -- (ユリス) 2015-02-20 18 17 44
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大学を卒業し、何とか無事に就職が出来てしばらく経った頃だった。 「出来ちゃったみたい…」 何やら深刻っぽい声色で、こなたがそう言ってきた。 「…何が?」 何のことかさっぱりなので、俺はそう返しておいた。 「そ、その…あの…あ…赤ちゃん…」 俺は返事をするのも忘れて、ぽかんと口を開けたまま固まった。 「…誰の?」 何とか絞り出した言葉は、我ながら実に間抜けな質問だった。 「もちろん、わたしとダーリンのだよ」 こなたが照れくさそうに答えた。 俺は混乱が収まらず、いつの種で出来たんだとか、どうでもいいことばかりが頭を回っていた。 「…産んでいいよね?」 「え?な、なにを?」 こなたの問いに、またしても間抜けな答えを返してしまう。 なにって決まってるだろうに、何を言ってるんだ俺は。 「赤ちゃん…産んでいいよね?」 それでもこなたは、辛抱強く聞いてきた。 俺は平静さを戻すために、自分の頬を二度ほど叩いた。 「…産んで悪い理由が無いだろ?」 ある程度正気に戻った俺は、そうこなたに言った。 「だよね…えへへ、良かった。産むなって言われたらどうしようかと思ったよ」 「俺がそんなこと言うわけ無いだろ?」 俺は余程の理不尽で無い限り、こなたの言う事は聞いてやろうと決めていた。 多少大変なことでも、俺が支えてやればいい。 「俺たちの子供か…嬉しいな」 それに、冷静になって考えれば、それは俺にとっても喜ばしいことだ。 「うん、嬉しいよ…とても、ね…」 こなたが、自分のお腹を撫でながら目を細めた。 高校を卒業する頃には、とても想像できなかった幸せな時間。 「…あんたら…わたしの前でこういうシーン展開するのはわざとか?嫌味なのか?…」 その中でかがみさんがふてくされていた。 - 命の輪に喜びを - こなたの妊娠が分かってから、数ヶ月が過ぎた。 この事は、彼女の友人達にもそれなりに大きな出来事だったらしく、知れ渡ってからはみんなが家に顔を出すことが多くなった。 「こなちゃんのお腹、ホントに大きくなってきてるよ…」 「知識として知ってはいても、実際に見ると不思議な感じがしますね…」 今日は、つかささんとみゆきさんの二人が、こなたの様子を見に来ていた。 「名前は決めたの?」 つかささんが、こなたにそう聞いた。 「いや、まだなんだよ…そうだね、そろそろ決めないとねー」 こなたが答えながら、俺の方をチラッと見てきた。 「そうだな。やっぱ、こなたの名前からなんか考えたいな」 俺がそう言うと、何かツボッたらしくこなたの顔が見る見る赤くなっていった。 「わ、わたしの名前から?」 「うん、こなたみたいに可愛らしい子に育って欲しいからな」 俺に似るとかゾッとしないしな。 「そ、そんな…まだ女の子とか分からないのに…」 そういやそうだ。 「女の子に決まってるさ」 言い切ってみた。何の根拠も無いが。 「…う…あ…わ、わたし、お茶のおかわり淹れてくる!」 急に立ち上がって、居間を出て行くこなた。許容量を超えたのだろうが、お腹に赤ん坊がいるため、今まで見たいに転げまわることが出来ないのだろう。 「わたし、手伝ってくるね」 つかささんがそう言って、こなたの後を追いかけた。こなたの身体を気遣ってくれてるのだろう。 俺はカップに残っていた紅茶を飲み干し、ため息を一つ吐いた。 「…今のご気分はどうですか?」 唐突にみゆきさんがそう聞いて来た。 「不思議な気分だよ」 俺は正直な気持ちを答えていた。 「実感が湧かないって言うか…いや、こなたと出会ってからそんなことばかりなんだけど…なんつーか、ね」 自分でも曖昧な返事だと思う。しかし、今の気分はかなり言葉にしづらい。 なんとか的確な言葉を探そうと四苦八苦してる俺を見て、みゆきさんはクスクス笑っていた。 「な、なんだよ…」 「ふふ、すいません…なんだか、幸せそうですね。少し、羨ましいです」 「そう…かな」 そう見えるのなら、そうなのだろう。 本当に、こなたと合えたことを嬉しく思う。俺は今まで信じたことも無い神様というものを、少しばかり信じていいような気さえしていた。 「…こなちゃん?…こなちゃん!」 その時、キッチンの方から只事じゃなさそうなつかささんの声が聞こえた。 俺は居間を飛び出し、キッチンに飛び込んだ。 目に入ったのは、床に倒れているこなたと、抱き起こそうとしているつかささん。 「こなた!どうした!?…つかささん、なにが!?」 俺はそう聞きながら、つかささんにぐったりと身体を預けているこなたの傍に座り込んで、その手を握った。 「わ、わからないよ…こなちゃん、急に倒れて…」 つかささんが泣きそうな顔で、俺に答えた。 「…大丈夫…大丈夫だから…」 こなたの呟きが聞こえる。顔色も真っ青で、どう見たって大丈夫じゃない。 「救急車を呼びました…泉さん、少しご辛抱を」 いつの間にかキッチンに来ていたみゆきさんがそう言った。 「すいません、独断で…」 そして、俺に向かってそう謝る。 「いや、助かるよ。ありがとう」 正直、そこまで頭が回っていなかった。 「…大丈夫…大丈夫…」 まるで、自分に言い聞かせるかのようにこなたが呟き続けている。 救急車が来るまでの間、俺はこなたの手をずっと握り締めていた。 「…このまま出産を迎えれば、非常に危険であると言わざるをえません」 医者のその一言は、俺を打ちのめすのに十分だった。 「危険って、どういう…」 分かってはいるのに、聞かずにはいられなかった。 「赤ん坊の方は問題は無いでしょう…しかし、母体の方は最悪の事態もありうると…」 俺は、それ以上は何も言えなかった。 「奥さんから聞いておられなかったのですね」 「え?」 「妊娠が分かった際に、奥さんには出産は危険であることは伝えておいたのですが…」 俺は、後ろに立っているそうじろう養父さんの方を見る。養父さんは黙って首を横に振った。 「…なんで誰にも話さなかったんだよ…」 静かになった部屋に、俺の呟きだけが響いた。 「ごめんね」 病室にいたこなたが、最初に言ったのは謝罪の言葉だった。 「それは、何に対してのごめんねだ?」 俺がそう聞くと、こなたは困ったように眉根を寄せた。 「色々だよ…黙ってたこととか、色々…怒ってる?」 こなたが、俺の顔を覗き込みながらそう聞いてきた。 「正直、怒鳴りつけたい…なんで、誰にも言わなかったんだ?」 「反対されると思ったから…それだけだよ」 これまでの中でも、最大の我儘だと思った。俺はどう答えていいか分からなくなり、こなたの大きくなったお腹をただ見つめていた。 「…ごめんね…ほんとに…」 黙っている俺に、こなたが優しい声で謝ってきた。 「…何か、俺に出来ることはあるか?」 そのこなたに、俺はそう聞いていた。こなたのこのとんでもない我儘でさえ、俺は許そうとしている。つくづく甘い夫だ。 「そうだね…じゃあさ、普通でいてよ」 「…え?」 「わたしが良いって言うまでさ、いつも通りに、普通にしててよ」 「それは、俺にしか出来ないことか?」 「多分、ダーリンにしか出来ないよ」 こなたが確信を持ったように言い切った。どこからそんな自信が来るのかわからない。 俺は、正直自信が無かった。今のこなたを前に、普通でなんていられるだろうか。 でも、それがこなたの望みなら、こなたの支えになるのなら、俺に選択の余地はないだろう。 「分かった…約束するよ」 本当なら、大変だけれども心踊るような日々だったに違いない。実際、出産が危険だと分かるまではそうだったんだ。 今は、大変なだけだ。辛いと言ってもいい。 追い討ちをかけるように、俺の仕事が忙しくなり、こなたの見舞いに行くことが困難になってきた。 こなたは気にしていないと…むしろ仕事の方を優先して欲しいと言ってくれてはいるが、こなたのことが気になり仕事に身が入らない。ミスも多くなり、仕事がますます増えていく。 悪循環だ。 こなたの病室に顔を出せた時も、傍目に普通に出来てるかわからない。 俺は、こなたとの約束を守れるのだろうか。 悪い感情ばかりが増えていく。 本当に、最悪だ。 その日、仕事から帰った俺は、洗面所で今日の昼飯を戻していた。 ここ数日は何を食べても戻すことが多い。ストレスが溜まりきってるのだろうか。 こなたの容態があまり良くなく、養父さんが病院に詰めて、家を空けがちなのは幸いだった。 こなたを託されておいてこんな様だ。正直、見られたくない。 「…あの、大丈夫ですか?」 「…え?」 誰もいないはずなのに声をかけられた。俺は驚いてそっちの方を見た。 「どうしてここに?」 そこにいたのは、高校を卒業した後、実家に戻っていたはずのゆたかちゃんだった。 「ごめんなさい。勝手に入っちゃって…インターホン鳴らしても反応が無かったから、心配になって…戻してたみたいだけど、大丈夫ですか?」 「ちょっと、仕事がきつかっただけだよ。心配ない」 正直、大丈夫じゃないけど、俺は無理矢理笑顔を作って見せた。 普通に見せないと。そう思って。 「いや、しっかし酷い有様だねー」 居間の方からまた違う声が聞こえた。あの声は、成美さんか。 「叔父さんもあんまり家にいてないんでしょ?疲れてるのは分かるけど、片づけくらいはちゃんとしたほうがいいよー」 居間に入ると、成美さんに説教じみたことを言われた。確かに家のあちこちが散らかっている。 「…しょうがないですよ。俺は整理とか苦手なんです」 それでよくこなたに怒られていた。その事を思い出すと胸が痛み、思わず顔をしかめた。 「まーそうだろうねー。こなたからそう言う事聞いてたし。だからね…ほら、ゆたか」 成美さんが、ゆたかちゃんの背中をポンと叩いた。 「え、えと…こなたお姉ちゃんが退院するまで、わたしが住み込みで家事をしますね」 ゆたかちゃんがそう言った。 「それは…大変じゃないのか?」 ゆたかちゃんだって、暇じゃないはずだ。 「そうかしれません…でも、些細なことです」 「いや、でも…」 「何を心配してるか知らないけど。こういう好意は素直にうけとりなよ」 成美さんが、今度は俺の背中を軽く叩いた。 「こなたを支えなきゃいけないんでしょ?…だったら、そのキミをわたし達が支える。そう言う事だよ」 いつもと変わらない調子で、成美さんはそう言った。 「…どうして?」 その成美さんに、俺はそう聞いていた。本当にどうしてか分からなかった。 「家族だもの。当たり前じゃん」 俺は、胸の奥がキュッと締まるような感覚を覚えた。 当たり前。この人たちは、当たり前の事を当たり前のようにしてるだけ。家族だからという、その一事だけで。 俺は、こなたのことばかり考えていて、全く周りが見えていなかった。 頑張ろう。そう、強く思った。 支えてくれる人がいるなら、俺はこなたを支えていける。悪循環が、断ち切れるような気がした。 「ありがとう…ゆい姉さん。ゆーちゃん」 俺は、無意識に二人をそう呼んでいた。 「おや、やーっとそう呼んでくれたねー」 ゆい姉さんが嬉しそうに頷く。その様子を見ていたゆーちゃんが、クスクスと笑ってるのが見えた。 「まあ、がんばんなよ、ゆたかも旦那さんも。わたしも暇出来たらこっちに顔出すから」 「…お姉ちゃん。来るのはいいけどあまり散らかさないでね?」 ゆーちゃんが困ったようにそう言った。 「う、何てこと言うかねこの子は…まるでわたしが何時も散らかしっぱなしみたいな…」 その姉妹の会話を、俺は笑って聞いていた。久しぶりに、ちゃんと笑えた気がした。 もし彼女達が支えを必要とした時は、今度は俺がしっかりと支えてあげよう。 一人の家族として。 俺が病室に入ると、こなたは上体を起こして本を読んでいた。 「調子良さそうだな」 俺がそう聞くと、こなたは頷いて見せてくれた。 「ダーリンも、調子良さそうだね…最初の頃はちょっと心配だったけど」 ベッドの隣にある椅子に座った俺に、こなたがそう言ってきた。 「俺の心配なんかしてないで、自分の心配しろよ」 そう言えるくらい、俺の調子は良くなっていた。それに釣られるように、こなたの調子も良くなっていく。 いい傾向だ。こなたが俺に求めてたのは、こういう事だったんじゃないかとすら、思えてきた。 ふと気がつくと、こなたは読んでいた本を置いて、俺の顔をじっと見ていた。 「な、なんだ?」 「ねえ、ダーリンはさ、かがみの事は好き?」 こなたらしい、なんの脈絡も無い質問だ。 「それは、どういう意味での『好き』なんだ?」 その辺りはハッキリしておかないとな。 「そりゃもちろん、異性としてだよ」 「…浮気オーケーと受け取っていいのか、それは?」 「いや、そうじゃないけど…あー、いやそうなのかな…うー」 今度は、いきなり悩み始めた。 俺は、いつもの調子の会話に少し嬉しくなっていた。 「ま、まあ、そこは置いといて、どうなの?」 こなたが重ねて聞いてくる。こうやってしつこく聞いてくるときは、何らかの意図があってのことだ。それが、いい事か悪いことかは置いといて。 「まあ、魅力的ではあるな…」 変な勘ぐりされても困るので、少し控え目な表現をしておいた。 控え目に言わなければ、かがみさんはかなり魅力的だと思う。怒ると怖いけど。 「ふーん…まあ、好意はある、と」 なんだか、拡大解釈されてるような気がする。 「んじゃさ、一つだけお願いしていい?」 「ん、なんだ?」 こなたがお願いって表現を使うのは、珍しい気がする。 「わたしにもしものことがあったらさ、かがみと再婚して欲しいんだ」 俺は、頭の奥が一気に冷えていくのを感じた。 「…ふざけてるのか?」 冷えた感覚そのままに声を出す。 「ふ、ふざけてるわけじゃないよ…」 思ったより冷たい声が出たのだろう。こなたが少し怯えているのがわかった。 「冗談じゃないなら、なおさら止めてくれ。そんなもしもの話なんて…」 最悪の事態なんて、考えたくもない。 「…絶対なんて無いんだよ…そうなる確率は無くならないんだよ…」 「こなた…」 「だから、そうなった時のために、なんかしておきたいんだ…この子には、母親ってのを感じさせてあげたいなって」 理解はできる。でも、納得は出来ない。 「…なんで、かがみさんなんだ?」 俺は答えが出せずに、話を逸らした。 こなたと付き合い始めた時から気にはなっていた。こなたはどうしてか、友達の中でもかがみさんには特別な思い入れというか、こだわりのようなものを持っている気がしていた。 「あー…それは、その…んー…まあ、いいか。こんな事話す機会なんてもうないだろうしね…」 こなたは、何故か頬を赤らめて頭をかいた。 「えっとね、驚かないで聞いてね…かがみと知り合ったのは高校の時なんだけど…その…その時にね、わたしはかがみの事好きだったんだ…えと…せ、性的な意味で」 「…同性愛…か?」 それは、驚くなと言うほうが無茶だ。 「うん、まあそんな感じ…あ、でもね、わたしが完全に同性愛者だってことじゃないと思うんだ。現にこうやってあなたと結婚して、子供も作ってるし、女の子にそう言う気持ち持ったの、かがみだけだったし…」 なんと言うか、微妙な気分だ。 「…浮気を見つけたときって、こんな気分なんかな」 俺がそう言うと、こなたはわたわたと手を動かして、言い訳を始めた。 「ああああ、違うよ。浮気とかじゃないよ。昔のことだよ。今はそんな気持ち薄れてるし、かがみはそんな気持ち全然無かっただろうし…」 もし、かがみさんがそんな気持ちを持ってたら、壮絶な三角関係になってたかもな…。 「だからその…かがみなら、いいかなって…わたしの全部、託してもいいかなって思って…」 最後の方は、呟くような声になっていた。 高校の時に好きだったという気持ち。こなたは今でも、その気持ちを持っているんじゃないだろうか。だからこそ、ここまでかがみさんを信頼することが出来るんじゃないだろうか。そう思うと、少しばかり嫉妬のような想いが湧き上がってきた。 「…飲み物でも、買ってくるよ」 「え?…あ、うん…」 その気持ちをこなたに悟られるのが嫌で、俺は適当な理由で部屋を出ることにした。 廊下に出ようとすると、ドアの前にいたかがみさんにぶつかりそうになった。 「あれ?かがみさん、今日は早いんだね」 いつもは、もう少し遅い時間に来るはずだ。 かがみさんからの返事は無い。思いつめたような表情が、少し気になった。 「こなた、今日は身体の調子が良いみたいなんだ。俺は少し買出ししてくるから」 俺はそう言って、廊下を歩き出した。 「…なんであんなに普通なのよ…」 後ろからかがみさんの呟きが聞こえた。 自販機で俺とこなた、それにかがみさんの分のお茶を買って、病室へ引き返す。 その途中で俺は、かがみさんのことを思っていた。 彼女はこなたが入院してから、ほぼ毎日見舞いに来ている。自分も仕事があるというのに、無理に時間を割いて顔を出していた。 かなり無理をしているらしく、日に日に弱っているように見えて、こなたも大分心配をしていた。 ふと俺は、どうしてかがみさんはそこまでしてこなたの見舞いに来るのだろうと、疑問に思った。 こなたへの思い入れと言うか、こだわりが少し普通じゃないような気がした。 さっきのこなたの話を思い出す。高校時代に、かがみさんのことが好きだったという話を。 「…まさかな」 俺は声に出して呟いて、足を速めた。 「ふざけないでよ!あんた何言ってるか分かってるの!?」 病室の前まで来たところで、中からかがみさんの怒鳴り声が聞こえた。俺は、持っていたお茶の缶をその場に放り出して、病室に飛び込んだ。 「そんなこと出来るわけ無いじゃない!あんた、わたしをからかってるの!?」 中では、かがみさんがこなたの胸倉を掴んで怒鳴りつけていた。 「お、落ち着いてよかがみ…そんな大きな声出したら、隣の部屋の人とかに迷惑だよ」 「あんたが変な事言うからでしょうが!」 俺はこなたとかがみさんの間に身体をねじ入れ、二人を引き離した。 「かがみさん、ホントに少し落ち着こう。それで、良かったらわけを聞かせてくれないか?」 「わけも何も、こいつが…」 かがみさんは、そこで言葉を切った。視線はこなたの方を見ている。俺もこなたの方に視線を向けた。 「………」 こなたが顔色を真っ青にして、ベッドの上でうずくまっていた。 「…な、なに?…どうしたの、こなた?」 「…い、いたい…」 かがみさんの問いに、こなたがかろうじてそれだけ答える。俺はベッドの横にあるナースコールのボタンを押して、こなたの傍にいき、その身体を抱きしめた。 「…こなた、大丈夫か?」 「…大丈夫…大丈夫…だよ…」 こなたの耳に囁きかけるように俺が聞くと、ほとんど聞き取れない声で答えが返ってきた。これは、かなり不味いかもしれない。 「陣痛だよ。始まったのかもしれない」 何が起こっているのか分かっていないのか、その場に突っ立ったままのかがみさんに、俺はそう言った。 「な、何が…?」 かがみさんがそう聞いて来たところで、何人かの看護士が部屋に入ってきた。苦しむこなたを担架に乗せて運び出す。俺はそれについて部屋を出た。 結果を簡単に言うと、こなたも赤ん坊も無事だった。その事が分かったときには、心の底からほっとした。 「あれ?こなた達は?」 病室に入ってくるなり、かがみさんが挨拶もなしにそう言った。 「母娘揃って検査だよ」 俺は読みかけの本をベッドの上に置いて、かがみさんに椅子を譲るために立ち上がろうとした。その俺を手で制して、かがみさんはベッドの上に腰掛けた。 「今日はあんまり時間無いから、こっちで良いわ。こなたの顔見たら帰るつもりだったし」 「そっか…」 しばらく会話が途切れる。こなたを間に挟まないと、意外と喋れる事が無いんだな。 「…あの時は、ごめんね」 唐突に、かがみさんがそう言った。 「何が?」 「子供が生まれた時の…こなたに怒鳴ったの。あんたも嫌な気分だっただろうし…」 「ああ、あの時の…」 どうして怒鳴ってたかは見当がつく。こなたはかがみさんに、『もしものとき』のことを話したのだろう。 「あの後、かなり自己嫌悪したわ…あれが原因でって事になったら、落ち込むくらいじゃすまなかっただろうけど」 「まあ、大丈夫だったから問題ないよ」 俺がそう言うと、かがみさんは呆れた表情をした後、盛大にため息を吐いた。 「なんだか深刻なわたしが馬鹿みたいね…」 いや、多分深刻じゃないほうが問題だと思うけど。 「…唐突だし脈絡もないし、かなりアレなんだけどさ…変な事言っていい?」 「そう言う事は、こなたでだいぶ慣れたよ」 「そう…あのね、高校の時にわたしがこなたの事好きだったって言ったら、驚くかな」 それは驚く。多分、かがみさんが考えてるのとは少々違う意味で。 「…どういう意味での好きなのかな?」 念のために、聞いてみた。 「どうって…えーっと…ラブ的な意味、かな?」 なんと言うか…俺は驚きを通り越して、呆れた気分になっていた。 「…そういうのもあったから、あの時こなたに本気で怒っちゃったのかもね…あー…やっぱ変よね。こういうの」 「いや、そうでもないんじゃないかな…こなたも同じ事言ってたし」 思わず言ってしまった俺の言葉に、かがみさんが目を丸くする。 「こなたが?…えっとそれってもしかして、こなたが高校の時にわたしをって事?」 俺は頷いた。 「…なんだ、そうだったんだ。相思相愛だったんだ…勿体ないことしちゃったかな?もし、告白とかしてたら上手くいってたかも」 「それは困るな」 「どうして?」 「俺がこなたと出会えなくなる」 俺の言葉に、かがみさんがクスッと笑った。 「そうね、それは困るわね…じゃ、お邪魔な私は帰るとするわ」 かがみさんがベッドから立ち上がり、ドアの方へと向かう。 「こなたに会っていかなくて良いのかい?」 俺がどの背中に向かってそう言うと、かがみさんは振り向きもせずにひらひらと手を振った。 「今日はいいわ。じゃね」 そう言って、ドアから出て行くかがみさん。 「あれ、かがみ?帰るの?」 その直後に、ドアの向こうからこなたの声が聞こえた。丁度戻ってきたところらしい。 「あ、うん。今日は時間内から。またね、こなた」 ドアを開けてこなたが入ってきた。 「かがみ、機嫌よさそうだったけど何かあったの?」 こなたはそう言いながら、ベッドに腰掛けた。 「ん、ああ、ちょっとな…お前だけか?」 赤ん坊も一緒に検査に行ったはずなのに、戻ってきたのはこなただけだった。 「うん。あの子の方は、もうちょっと時間かかるって」 「そうか」 しばらく、沈黙が続く。 「…もう、良いんだよ」 唐突にこなたがそう言った。 「何がだ?」 本当に何のことか分からず、俺はそう聞いていた。 「ほら、言ったじゃない『わたしが良いって言うまで、普通でいて』って」 「ああ、そう言えばそうだっけ」 正直、忘れてた。 「だからさ、もう良いんだよ…色々溜め込まなくてもさ」 あの時の俺なら、その言葉に甘えていたかもしれない。でも、今はもうそんな事は何一つ無い。 俺からのリアクションが全く無いからか、こなたがムッとしていた。 「なんだよー。ここは溜め込んだものを吐き出したりとか、泣き出したりとかするところじゃないのー?」 実に不満そうだった。 「普通なら、そうかもな」 「普通にしなくていいから、ノーリアクション?…なにが普通なのか分からなくなってきた…」 俺もだ。 「お前は、どうなんだ?」 「ふえ?」 こなたは振られたことが予想外だったのか、キョトンとした表情でこっちを見た。 「こなただって、色々溜め込んでたんじゃないか?」 本当にそうなのかは知らない。こなたは達観したところがあるから、そう言う心配は無いかもしれないけど、溜め込んでるものがあるなら、吐き出させてやりたかった。 「…怖かったよ…すごく怖かった…」 こなたは俯いて、それだけを呟いた。 「…そうか」 俺はこなたの横に座って、その身体を抱き寄せた。 こなたがほんの少しだけ見せた弱さ。俺はその意味を大切にしたいと思い、こなたを抱く手に力を込めた。二人の顔が自然と近づいていく。 「こなちゃーん!お見舞いに来たよ!調子どう!?」 その瞬間、時間が止まった。俺達は唇を合わせたままの格好で。つかささんはドアを開けたままの格好で。 「…つ、つかささん…だからノックはしたほうが良いと…」 つかささんの後ろから、みゆきさんがそう言いながら顔を覗かせていた。 「え、えっと…わたし達のことは気にしないで続きを…」 「つかさ…怒ってないから、ちょっと表でようか?」 「えええ!?」 「やめい、やめい」 つかささんの手を掴んで、病室から連れ出そうとするこなたの手を、俺が掴んで止める。 「折角、いいシーンだったのにー」 こなたは、ベッドに上がって不貞寝してしまった。 なんとも締まらないが、それくらいが丁度良いような気がした。 モノクロだった世界は、いつしか憧れていた色に満ちていた。 そのきっかけをくれた一つの出会い。 そこから、幾重にも繋がり続ける命の輪。 その中にいる喜びを、何よりも大事にしていきたい。 誰よりも大事な人と、分かち合いたい。 ゆるゆると、曖昧な答えで、俺たちらしく。 - 終わり -
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732 :1/15:2011/03/20(日) 14 07 44 ID ??? (自炊)ホワイトデーにどうやってお返しをしようかで悩む男 「ほれ。敬香、これ」 『……何ですか? 兄さんこれは』 三月十四日の朝。妹にクッキーの入った箱を差し出すと、思いっきり胡乱げな目で見られた。 「いや。だから、その……バレンタインのお返しだって」 『私、バレンタインデーのチョコなんて兄さんにあげてませんけど』 姿見を前に、髪に櫛を入れていた妹は、一顧だにせずに答えた。しかし、それに負けて いてはこの妹の兄は務まらない。俺は呆れた風を装って言い返した。 「何言ってんだ。一応、バレンタインデーにチョコはくれただろ? 今年はえっと……チョ コレートムースだったっけ。自分が食べたかったから作ったついでだとか言って」 『そういえば、そんな事もありましたっけ』 素知らぬ顔で言う我が妹だが、これで本当に俺が忘れてようものなら、向こう三ヶ月は いつにも増して辛く当たる事間違いなしなのだ。 「でなきゃ、貧乏な俺がわざわざ敬香の為に菓子なんて買って来るか。いらなきゃ別にい いぞ。俺が食うから」 『誰もいらないなんて言ってません』 クールを装っていて、その実慌てたように敬香は言うと、俺から素早くクッキーの箱を奪い取る。 「何だよ。バレンタインデーにチョコあげてないのに、お返しだけはちゃっかり貰う気かよ」 肩をすくめて文句を言ってみせる。もちろん演技だが、妹は憤慨して言い返してきた。 『思い出しました。確かにあれはバレンタインデーでしたね。たまたま作ったチョコレー トムースを、その日がバレンタインだって忘れてて兄さんにあげてしまいましたっけ。何 か、兄さんは勝手に勘違いしてましたけど』 俺はため息をついた。チョコをくれる女の子がいるだけでも幸せなんだろうけど、どう して俺の周りの女の子達は素直にバレンタインチョコですって差し出してくれる子がいな いのだろうか。せいぜいが義理だとかついでだとかだ。 「クッキー奪い取ったら思い出すとか、どんだけちゃっかりした記憶力だよ」 そう茶化すと、敬香は俺を睨み付けて言い返した。 『別にクッキーに釣られて思い出した訳じゃありません。失礼な事言わないでください』 733 :2/15:2011/03/20(日) 14 08 08 ID ??? 俺を睨み付けながら、クッキーの箱を大事そうにしっかりと抱えて言い返す敬香。もっ とも、俺だって自分の言葉を信じてはいない。頭の良い敬香がそもそもバレンタインデー の事を忘れてるなんて事そのものを信じていないのだから。 「ま、それは冗談だけどな。で、いるのか? いらないのか? はっきりしろよ」 すると敬香は僅かに顔をうつむかせて黙り込む。少し経ってから、顔を上げて俺を憎ら しそうに睨み付ける。しかしその頬が僅かに赤らんでいたのを、俺は見逃さなかった。 『別に、兄さんからのお返しなんて嬉しくありませんけど。でも、兄さんなんかに買われ たクッキーが不憫ですから、これは貰っておきます』 「……貰うなら、素直にそれだけ言ってくれた方が俺としてはいいんだけどな」 相手は妹だし、もう慣れていてはいてもたまには嬉しそうな顔も見てみたいなと思いつ つ言うが、逆に敬香は俺を思いっきり睨み付けた。 『冗談言わないでください。下手に兄さんに勘違いされたら、私が……その……困りますから』 「困るって、何が?」 直球で聞き返すと、さらに敬香は顔を赤くして怒鳴った。 『困ると言ったら困るんですっ!! これ以上深入りして聞かないでくださいっ!! も う……用が済んだんだったら、とっとと私の部屋から出て行ってください!!』 プイ、と体ごとそっぽを向かれてしまったが、俺はまだ敬香に用があった。グズグズし ていると叩き出されそうだったので、急いで話を進める。 「いや、あの……参考までに一つ聞きたい事があるんだが、いいか?」 『何ですか? その、参考までって』 肩越しにジロリと睨み付けられる。若干気圧されつつも、怯まないよう気を強く持って、 俺は言葉を続けた。 「あのさ。バレンタインにチョコあげたつもりのない奴から、こうやってお返し貰うのっ て、やっぱり迷惑か? いや。嬉しくないとかは分かるんだが」 すると敬香は、クルリと俺に向き直ると、唐突に詰め寄ってきた。 『何でそんな事を聞くんですか? 私の他に、バレンタインにたまたまチョコをくれるよ うな人が兄さんにいるんですか?』 「あー、いや。参考までだって言ったろ? 来年に備えてって事もあるし」 『来年は、私は兄さんに間違ってもチョコなんてあげませんよ?』 734 :3/15:2011/03/20(日) 14 08 33 ID ??? 以前にも、敬香からそんな台詞を聞いた事があったのを俺は思い出す。その次の年は作 り過ぎたんだっけ。 「いや、だからさ。お前にだってうっかりする事はあるから、作り過ぎたりたまたま余っ たチョコ菓子をくれたり、自分が飲みたくて一緒にホットチョコを作ったりするかも知れ ないじゃん。だから、その時の為にさ」 過去の例をいろいろ挙げて言うと、敬香は俺を睨み付けて吐き捨てた。 『ホント、ムカつく人ですよね。兄さんって』 「別に、お前と馬が合わないのは今に始まった事じゃないだろ」 そう言うと、敬香は口を尖らせて視線を外す。少し黙った後、ゆっくりと、言葉を選ぶ ように俺の質問に答え始めた。 『……まあ、余程常識外れなものじゃなきゃ……迷惑とまでは言いませんけど…… 大体、 兄さんは日頃私に迷惑ばかり掛けているんですから……チョコあげなくても、ホワイトデー にプレゼント渡すくらいの感謝の気持ちはあって……当然です』 確かにいろいろ世話もして貰っているが、それなりにお返しもしているはずなんだがな、 とは内心思う。しかし、今はそっちが本命ではない。俺は小さく頷いた。 「悪いな。参考になった。ありがとう」 『へ……ちょっと、兄さん。それってどういう……』 ポカンとした顔で聞き返す敬香を俺は慌てて退けた。 「いや。気にすんな。そんじゃな」 これ以上追求される前に、俺は敬香の部屋を出た。急いで自分の部屋まで戻るとホッと 吐息をつく。 ――あと……まだ、やっかいなのが二人か。 バッグを開けると、小さな手提げが二つ。覚悟を決めてチャックを閉めると、俺はバッ グを肩に担いだ。 『何ですか先輩。教室にいきなり顔出されても困るんですけど』 放課後、真っ先に一年の教室に行くと、教室にいた手近な女子に頼んで文村を呼んで貰っ た。俺も一応生徒会副会長なので、意外な顔一つされずに受けてくれるのはこういう時助かる。 735 :4/15:2011/03/20(日) 14 08 56 ID ??? 「いや。今日は生徒会もないだろ。だから、一応こないだのお返ししとかないとと思ってさ」 そう言いつつ、俺は廊下の方に顔を向けてあごでしゃくる。その先には同じく生徒会後 輩の早川がいた。 「文村さんにはチョコ貰ったからね。感謝の気持ちって事で、はいこれ」 早川が、手提げのビニール袋を差し出す。すると文村は笑顔でそれを受け取った。 『ありがとう、計君。友チョコだとホワイトデーのお返しはないから、何気に私も貰うの は初めてだったりとか。あ……でも、計君は他の子からも貰ってたんだっけ』 ちょっと不満気な顔になる文村に、早川は慌てて言い訳するように言う。 「いや。確かにクラスの子にも返したけど、グループでまとめてだからさ。特定の子にっ て訳じゃないし」 そんな早川の困り顔がおかしかったのか、文村はクスッと笑った。 『いいよ、別に。お返し、くれただけでも十分嬉しいから』 それから横目でチラリと俺に視線を移して言った。 『で、先輩は?』 「ああ。俺もお返し。ほれ」 紙袋に入ったクッキーは、今朝敬香にあげたものと同じだ。文村は、紙袋を開けて除い てみてから言った。 『ふうん。クッキーですか。超普通ですね』 「ありゃ? 何か、早川の時と随分態度違くないか?」 つまらなそうな文村の態度に疑問を呈すると、文村は不満気に俺を睨んで言った。 『当たり前です。先輩はくれて当然なんですから。義理の義理でもチョコ貰えた感謝の気 持ちくらい示して当然です』 どうしてこうも、俺の評価は低いのか。もっとも文村の場合は一応バレンタインチョコ ではあったし、口の割には中身はしっかりしたものだったから、多少は我慢しないといけ ない所もあるだろう。 「まーな。あれ、結構美味しかったし。だから、クッキーだっつっても、一応それなりに は吟味してんだぞ」 美味しい、という言葉に文村がピクッと体を反応させた。視線を僅かに外して顔をうつむかせる。 736 :5/15:2011/03/20(日) 14 09 16 ID ??? 『……べ、別にその……先輩に美味しかったとか言われても嬉しくないですし、別にあれ、 手作りって訳でもないですし…… でも、そこまで言うんだったら、あんまり美味しくな かったら、やり直しを要求してもいいですか?』 「マジかよ。この財政難にそれはキツイだろ」 何だか美味しくても美味しくなくても難癖つけられそうな気がして、俺は拒否しようと した。しかし、文村は断固とした口調で言い張る。 『いーえ。決めました。美味しくなかったらこのクッキーはお返しとは認めません。先輩 の本気が見えるまで、私は納得しませんから』 「美味いとか美味くないとか、どういう基準で判断すんだよ。そんなもん、適当に言われ たら無限ループ突入だろ」 何か勝手に決定されてしまったので、仕方なく文句を言うと文村はキッと顔を上げて言った。 『そんな事、私の基準に決まってるじゃないですか。貰った本人なんですから。何だった ら先輩の目の前で判定してもいいですよ?』 「まあ、確かに目の前ならある程度俺も文句付けられるけど……でも、どこで食うんだ? 生徒会室か?」 何となく思い当たる場所を言ってみたが、文村は断固とした感じで首を振った。 『そんな、いつも仕事してる場所じゃなくて喫茶店とか行きましょうよ。えっと……計君も、来る?』 チラリと早川を見て、彼女は聞いた。何となく傍観者風に俺たちのやり取りを見ていた 早川は、しかし首を振った。 「いや。ゴメン。僕は今日、用事……っていうか、予備校寄ってくから遠慮させて貰うよ」 『そなんだ。残念だな。あ、計君のは家でゆっくり味わって食べることにするからね』 微笑む文村に、早川も頷き返す。 「うん。僕のも、口に合うかどうかは分からないけどね」 『大丈夫。計君が選んだのだったら、絶対美味しいはずだから』 この返事に、俺は小さく舌打ちする。全く、俺と早川のこの差は一体何なんだと。文村 は、クルリと俺に向き直ると、ビシッと指差して言った。 『それじゃ、先輩。行きましょうか。私、行きつけの店があるんで、そこなら菓子持ち込 んでも大丈夫ですよ』 737 :6/15:2011/03/20(日) 14 09 39 ID ??? 強気な文村を前に、内心俺は困惑していた。そこまで本格的に行かれると、予定してい た最後の、そして一番重大なミッションが達成出来なくなる。さてどうしようかと悩んで いたら、唐突に校内放送がなった。 【二年D組 別府タカシ君。至急、生徒会室に来て下さい。繰り返します。二年D組――】 「ありゃ? 文村、悪い。何か仕事みたいだ」 一瞬、文句を言いそうな顔になった文村だったが、次の瞬間には諦め顔になって、ため 息をついた。 『ハァ…… ま、仕方ないですね。別に、今日じゃなくてもいいですし。せいぜい、会長 にこき使われて来て下さい』 その言い方が、ちょっと自棄っぽく感じられた。 「ちぃーっす」 『遅いわよ』 チェックしていた書類から顔を上げて会長が俺を睨んだ。俺は自分の席にバッグを置い て不満気に会長を見つめる。 「別に、今日は活動日じゃないんだから遅いもクソもないだろ。つか、わざわざ呼び出す ほどの用か?」 『会長が仕事抱えてるのに、補佐すべき副会長の貴方はほったらかしにして遊びに行くつ もりだったの? いいご身分ね』 嫌味っぽく言い返されて、俺は一瞬ムッとするが、すぐにそんな気持ちはなくなった。 別にこんなのはいつもの事だ。むしろ何で一瞬たりとも不愉快に思ったのかが不思議だ。 「ちょっと用があったんだよ。それが終わったら顔出すつもりだったさ。どうせ、会長の 事だから少しは仕事してくだろうと思ってたし」 むしろ、いなかったらどうしようかと思っていたくらいだ、と内心で付け加える。ほぼ 確信があったからこそ、こっちを後回しに出来たが、うかつに帰られていたりしたら、そ の時点でミッション失敗である。 『優先順位が逆ね。まずこっちに顔を出して、一言断ってから用を済ませるべきだったわ。 そうすれば、放送委員の子の手を煩わせる事もなかったのに』 738 :7/15:2011/03/20(日) 14 10 06 ID ??? 使う必要のない放送委員を使ったのは自分なのに、何故か俺のせいにされてしまった。 いや、今日の所はこれで良かったのだから、文句も言えないが。 「そりゃ申し訳なかった。で、何すればいいんだ?」 そんな訳で、大人しく謝ってから仕事に取り掛かる。今日は会長の手伝いくらいしかす る事がないから、指示を仰ぐと会長は棚を指して言った。 『去年の新入生歓迎会の進行とかのファイル取って。まだ早いような気がするけど、何気 にあと半月と少しだもの。それに、四月は会計帳簿も整理しなくちゃいけないし、新年度 予算の配分もあるから出来ることからやっておかないと』 会長に言われたことをこなしつつ、俺の心は別の所にあった。用意したホワイトデーの プレゼントをどうやって渡すか。敬香や文村とは違って、いきなり差し出すのにはかなり の抵抗があった。会長の場合はストレートに断られるかも知れなかったし。 「あのさ、会長」 『何? 仕事中に私語しないでくれる?』 いきなりバッサリやられたが、ここでめげたら渡す機会なんて無くなる。俺はグッと気 持ちを奮い立たせた。 「いや。仕事中って言ったって今日はサビ残みたいなもんだろ? 雑談しながらやったっ て問題ないだろうし、無言で仕事だけしてると息詰まりそうじゃないか?」 『別に。秀美ちゃんとかならともかく、貴方と話したいことなんて特にないし』 またしても冷たく突っ撥ねられた。全く、本当に心が折れそうになる。 「まあ、そう言うなよ。それに、何だかんだ言ったって、今までだってずっと話ししなが ら仕事したりしてたじゃん」 すると会長は、小さくため息をついてボールペンを走らせる手を止めた。 『で?』 「は?」 いきなり聞かれたので反射的に聞き返すと、会長は俺を睨み付けて言った。 『何か話したいことがあったんでしょう? 聞いてあげるから、言ってみなさいよ』 会長としては折れてくれたつもりなんだろうが、いきなりこれだと心臓に悪い。どうも、 あまり遠回し過ぎるとキレられそうだから、単刀直入とは行かずまでも、俺は本題に近い ところから話に入る事にした。 「いや。今日さ。何の日か、知ってる?」 739 :8/15:2011/03/20(日) 14 10 33 ID ??? すると会長は、無言でノートパソコンを弄っていたが、やがて顔を上げて言った。 『円周率の日でしょ? 円周率が三.一四だからそれにちなんだっていう』 「会長。今、検索しただろ?」 すると会長が、もの凄く不満気な顔で俺を睨み付けた。珍しく隙のある行動を見せた会 長の態度に、つい俺は笑ってしまう。 『別にいいじゃない。私にだって、知らない事くらいあるわ』 ムスッとした声で会長が文句を言った。正直なところ、日頃クールな会長がこうして俺 の前では少しでも感情を表に出すのは、副会長としての役得だと俺は思っている。 「何か、別の日をわざわざ検索してごまかそうとする辺り、俺の言わんとしてることは察 してると思うんだがな」 ちょっと意地悪く言うと、会長は変わらぬまま俺を睨んでいたが、やがて諦めたように 視線を外した。 『知ってるわよ。ホワイトデーでしょ? 個人的には縁が無いから、興味もないだけだわ』 素直に認めるかと思いきや、いきなりバッサリと切って落とされた。縁が無いと言うの は、俺も含めての事なのだろうか。だとすると、先行きはかなり暗い。 「縁が無いって、会長はお返しとか貰ってないのか?」 敢えて聞くと、会長はつまらなそうにそっぽを向いたまま頷く。 『当たり前でしょう。バレンタインのチョコなんて、誰にもあげてないもの。貰いはしたけどね』 「会長は、お返しとかしないのか?」 言葉尻を捉えて聞くと、一切表情を変えずにそのまま会長は頷く。 『だって、そういうのって面倒くさいもの』 また、あっさりと言ってのけた。いや、まあ実に会長らしいとは思うし、バレンタイン デーにもそんな事は確かに言ったのは記憶しているが。 「確かに気持ちは分かるけどさ…… けど、お返しすれば文村とか喜ぶんじゃないか? アイツ、会長の事慕ってるんだしさ」 パッと思いつきで口にした後で、即座に俺は後悔する。予想通り、会長の顔が不機嫌に 歪む。 『余計なお世話よ。別府君にそんな事、お説教されたくもないわ』 俺は心の中で自分に舌打ちする。会長から視線を逸らし、渋い顔をして謝罪をする。 「いや。確かにその通りだよな。何か、ちょっと気になっただけで……悪い」 740 :9/15:2011/03/20(日) 14 10 58 ID ??? 会長が、苛立たしげに鼻を鳴らすのが聞こえた。 『全くだわ。それに、バレンタインだのホワイトデーだの、そういう商業主義に則った因 習が面倒くさいっていうだけで、秀美ちゃんにはキチンとお礼はしたわよ』 「え? マジで?」 ちょっと驚いて聞き返す。すると今度は会長がそっぽを向いた。 『ちょっと前に、あの子の好きな甘味屋さんで抹茶ぜんざいとつぶあんみつをね。大体、 何で別府君がそんな事気にするのよ?』 まあ、女子同士だから帰りにお茶したりするのはよくある事だろうけど、それにしても そんな事は話題にも上らなかったなと思う。そんな事を考えつつも、会長の問いにどうや って答えようかと俺は考えあぐねた。そもそも、俺だって何であんな事を聞いたのかよく 分からないのだから。しかし、何らかの答えは出さなくちゃいけないと思い、何となくそ う思えることで俺は答える事にした。 「……ま、何となく……だな。ここに来る前に、文村に義理チョコのお返しして来たから。 多分、それで」 『多分って何よ。多分って』 曖昧な表現を突っ込まれたが、それには俺も肩をすくめるしかなかった。 「いや。実際、何で俺もそんなに気になったのかはよく分からんし」 『変なの。もっとも、別府君は最初っから変だから、そう変とも言えないのかしら』 「さあな。何とでも言ってくれ」 会長の毒舌に文句を言う気にもなれず、俺は敢えて流した。それよりも、これだけホワ イトデーの話をしたのだから、そろそろ自分の事も気になっていいんじゃないかと、会長 の様子を窺う。しかし会長は俺の方に真っ直ぐ視線を向け、真顔で聞いて来た。 『で、秀美ちゃんは喜んでたの?』 「へ?」 そっちの話題は終わったものだと思ってたから、意外に思って俺は会長を見返す。する と、会長の視線とモロにぶつかりあった。 『だから、渡した時の反応。別府君にお返し貰って、彼女、どうだったの?』 そんな事に興味を持つなんて、俺は意外な面持ちで会長を見つめた。しかし、会長は相 変わらず感情を見せない表情で、押し黙って俺の答えを待っている。その視線の強さに耐 えられず、俺は答えた。 741 :10/15:2011/03/20(日) 14 11 24 ID ??? 「いや。喜ぶ訳ないじゃん。早川のは素直に喜んでたけど、俺のはむしろ貰うのが当然っ て感じだったぜ。おまけに、口に合わなかったらやり直しだからって言われてさ」 冗談めかした、おどけた口ぶりで言うと、会長は微かに笑って頷いた。 『そうなの。彼女らしいわね。ううん。ある意味、彼女らしくないか』 「何だそりゃ? どういう意味だよ」 会長の言葉に、ちょっと意味深な意図を感じて俺は聞く。しかし会長は首を左右に振っ てそれを退けた。 『大したことじゃないから、気にしないで。それより良かったじゃない。別府君も、妹さ ん以外で始めてお返し出来る女の子が出来て。貴方みたいな何の取り得もない男が、秀美 ちゃんみたいな可愛い子にお返し渡せるなんて、それだけでも光栄に思いなさいな』 気のせいだろうか。クールな口調で会長は話していたが、その言葉の裏に何だか様々な 思いが渦巻いているように思えてならなかった。だが、それは例え真実だったとしても確 かめる術もないし、何より俺には自分の事を優先させなければならなかった。そう。タイ ミングなら今だ。 「……もう一人、お返しを渡さなくちゃいけない相手が、俺にはいるんだけどな」 躊躇いがちに、会長に向かって言う。すると会長の目が一瞬見開いたかのように見えた が、すぐに元の冷静な顔に戻って、会長はファイルに目を落とした。 『……意外ね。別府君に、バレンタインデーにチョコを渡すような物好きさんが、他にも いただなんて。貴方、意外と幸せ者じゃない』 俺はそれには答えず、バッグから紙の手提げ袋を取り出す。そして立ち上がると、会長 の席の真正面に立って、それを差し出した。 「ほれ」 すると会長は、ゆっくりと顔を上げて俺を見つめる。驚いた風でもなく、嬉しそうな風 でもなく、不快そうでもなく。それから、すぐに視線を横に逸らして、とぼけた様子で言った。 『……私、別府君にお返しを貰うような事を何かしたかしら?』 何となく予想はしていたが、またとぼけられたかと思う。いい加減ここまで来ると、呆 れるのすら通り越してしまう。 「前に手作りチョコ、くれたろ? 俺にバカにされたから証明するとか何とか言ってさ」 すると会長は、意外にもすんなりと頷いた。 『ええ。それは覚えているわ。で、それがどうしたの?』 742 :11/15:2011/03/20(日) 14 11 48 ID ??? 「いや。だから、その日が、バレンタインデーだったじゃん」 そう言うと、またしても会長は頷いた。こういう所は妹とは違う。実に堂々としたもん だ。 『そうね。たまたまだったけど、それも事実だわ。だけど、まさか貴方、勘違いしてたと かじゃないでしょうね?』 会長が俺を睨み付ける。果たしてそれは、本心なのかポーズなのかは分からない。しか し俺は、そう言われる事は予想していたので、何度か妄想した答えの一つを返した。 「いや。勘違いはしてないけど、やっぱりチョコ貰った事は貰ったんだしさ。何かお礼は しなきゃって思ってたんだけど……俺は不器用だからな。逆にイベントにでもかこつけて でないと、返せないから」 『なるほど。そういう考え方もあったわね』 意外にも、会長が感心して頷いた。 『確かに、他の日よりもかしこまらなくっていいって言うのも納得だわ。日本全国で、男 子が女子に贈り物をあげてるんだものね』 恐らくは、会長にとっては新しい考え方だったのだろう。しきりに頷いている。思い立っ たら即行動、の会長には合わないとは思うが、それだけに何か響くものがあったのかも 知れない。しかし、今の俺にはそれよりプレゼントの方が重要だった。 「で……どうなんだよ? 受け取ってくれるのか?」 すると、会長はあっさりと首を縦に振った。 『ええ。くれるというなら貰っておくわ。いらなければ、私が処分すれば良いだけの話だ し、例え別府君からの貰い物であっても、有益でない保障はないしね』 「じゃあ……ほら。チョコ、ありがとな……」 『一応、ありがとうと言っておくわ』 そう言って、会長は立ち上がると、俺の手から紙袋を受け取った。中を広げてみようと して、俺の顔を見て聞く。 『開けてもいいのかしら?』 「ああ。どうぞ」 俺が頷くと、会長は紙袋を開けて、包装された小さな箱を取り出す。 『……何かしら? 食べるものではないみたいね』 「ま、いいから中を見てくれよ」 743 :12/15:2011/03/20(日) 14 12 11 ID ??? この場で会長から感想を貰うなど命知らずに等しいが、かといって家で開けられて後か らなまくら刀でボコスコにされるよりは、いっそ一刀両断に切り捨てられた方がマシだっ た。会長が丁寧に包みを開けるのを、俺は窒息しながら、ひたすらに見守っていた。 『……これは……イヤリング……よね?』 会長が手にしたのは、小さな白い真珠のついたイヤリングだった。セール品とはいえ、 俺の小遣いが二ヶ月は軽く吹っ飛んだ代物だ。 「まあな。ちょっと……その……俺もやり過ぎかなとは思ったんだけどさ」 正直、かなりこっぱずかしい。これで会長にボロクソに批判されたら、マジで死ねる。 『……普通、ホワイトデーのお返しなんて、クッキーやケーキなんかのスイーツにしとく ものじゃないのかしら』 怪訝そうに会長が俺を見つめる。俺はまともに視線を受けられず、顔を逸らすとこめか みを手で掻いた。 「だって、会長そんなに甘いもの好きじゃないじゃん。コーヒーもブラックで飲むし。か といって、ホワイトデーに辛いものってのも何か合わない気がして、迷ってたらたまたま それが目についてさ。会長だったら、こういうのでも似合いそうだなって思ったら……勢いで……」 すると会長は、大げさにため息をついて言った。 『……あのね。別府君にアクセサリーなんて贈られて、喜ぶ女の子がいると思うの? だ とすれば、思い上がりも甚だしいわ』 「いや……悪かった。俺もそこまで思い上がってはいないんだけど……何つーか、気の迷いだから」 頭を下げ、手の平を会長に向けてこれ以上の非難は勘弁だという事をポーズで示す。す ると、もう一つ会長のため息が聞こえた。 『……まあいいわ。元々プレゼントなんて期待してないんだし、貰うと言った以上は貰っ とくわ。ただし、どう処分されても文句は言わないで。間違っても、私が付けるなんて期 待はしないでよね』 「分かってるよ。いや……十分です。はい」 やはり、バッサリ斬り落とされると心臓は激痛を覚えるのだなと、俺は実感したのだっ た。 744 :13/15:2011/03/20(日) 14 12 35 ID ??? しかし、期待するなと言われても、期待してしまうのは男の性だ。次の日から、俺はつ いつい会長の耳を気にするようになってしまった。しかし、次の日はもちろん、その次の 日も、また次の日も、一週間経っても会長が耳にイヤリングを付ける様子は一向に見られなかった。 「ちっ……やっぱりダメかあ」 『何がダメなんですか? 先輩』 文村が、俺を覗き込むように顔を見つめて聞いて来た。 「おわっ!? な……何でもねーよ」 ちなみに、文村との約束はキッチリ果たした。結局、クッキーにはダメだしを食らった ものの、その場でスイーツを他にもご馳走した事で何とかやり直しだけは回避させて貰った。 文村はキョトンとした顔を向けていたが、やがて怪訝そうに言った。 『ふーん。変な先輩ですね。まあ、元からそうですから、意外でもないですけど』 そう言って離れる彼女を、俺はホッとしつつ見送ったのだった。そして、諦め顔で会長 に視線を戻す。 「ま……こんなもんだろうけどな……」 一人そう呟いて、俺はとうとう気持ちを切り替えると、目の前の仕事に没頭したのだった。 ~おまけ~ 『あ、静~っ!! こっちこっち』 駅前の時計台の下で、友人の聖花が手を振っているのが見える。私は特に歩調を変える ことも無く、彼女の傍に近寄った。何となく、左手の腕時計を見る。時間は約束どおり。 十時ぴったりだ。 『全く。服買いに行くたびに、私を付き合わせるのにもいい加減勘弁して欲しいわね。友 達づきあいとはいえ、毎度の事だとうんざりするわ』 『だって、一人だと目移りしちゃってさ。その点静が一緒だと、バッサリ判断してくれる から有難くって』 『だってそんなもの、欲しい服と手持ちの資金を比較して、買える物で選択すればあっと いう間に決まるじゃない。それなのに、予算に合わないものと延々と見比べるなんてナン センスだわ』 745 :14/15:2011/03/20(日) 14 13 00 ID ??? 聖花だけじゃない。ウィンドウショッピングだけに何時間も掛けて、買えもしないブラ ンドのバッグとかを見て回る神経が私にはそもそも理解出来なかった。 『だって、どーしても欲しいものってあるじゃない。まあ、静は有る物で着こなせる才能 を持ってるからかもしれないけどさ』 自分では、服選びなんてかなり適当なのだが、聖花は私のセンスをよく褒めてくれる。 まあ、悪い気はしない。 『口で褒めておだてられても、ちっとも嬉しくないわ』 口ではそう突き放すと、聖花はニッコリ笑って言った。 『分かってますって。ご飯、ちゃんと奢るわよ。今日も中華?』 『中華って……ラーメンでしょ? 聖花の奢る限界なんて』 『あー。奢って貰うのにそういう事言う? まあ、実際そうなんだけどさ。でも、静はア ソコの激辛坦々麺好きじゃん』 『まあ、ね。それに、別に文句言ってるわけでもないから。それより、早く行きましょう。 ただでさえ聖花は買い物に時間掛けるんだから、もったいないわ』 先に立って歩き出した時、聖花が後ろから呼び止めた。 『あ、ちょっと待って』 『何?』 振り向くと彼女は、私の耳元をジッと見つめて言った。 『何って……これ、イヤリングじゃん。静ってこういうの、嫌いじゃなかったっけ?』 『別に。嫌いじゃないわ。買うほど興味が無かったってだけで』 何となく、気恥ずかしくなって手で隠したい衝動に駆られる。しかしそれは、余計に相 手の興味を惹くだけだと思って、私はグッと我慢した。 『ほほう。どういう心境の変化ですかな? それとも、貰い物?』 好奇心に任せて聞く彼女を、私は興味なさげに退ける。 『さあね。ご想像にお任せするわ』 すると、聖花はちょっと意味深な表情を浮かべて、聞いて来た。 『もしかして……男から貰ったとか?』 私は、ジッとしばらく無言で聖花を見つめた。それから、小さくため息をついて言った。 『……それ、本気で言ってるわけ?』 すると彼女は、面白がるように笑顔を浮かべて言った。 746 :15/15:2011/03/20(日) 14 15 55 ID ??? 『いやいや。今を時めく美人生徒会長の清宮静嬢ですもの。贈り物にアクセサリーを贈る 男子なんてたくさんいそうだし。まあ……でも、静が受け取るとも思えないけどね……』 『そういう事よ。全く、バカな事言ってないで、さっさと行きましょう』 私は身を翻すと、パッと髪をかき上げて早足で歩き出した。 『あ、ちょっと待ってってば!!』 後ろから早足で追いかけて来る彼女をチラリと見て、思った。 ――これが……男の子から……それも別府君から貰ったものだなんて知ったら、どう思うかしらね。 その事を想像すると、何となく、私はちょっとおかしくなって内心クスリと笑みを漏ら すのだった。 終わり ちょっと遅めのホワイトデーネタでした。 自分で書いてて何だが、ちょっと男モテ過ぎだろうと
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さわ子「確かもう何も無かったはずよね~」 さわ子「どこかで食べて帰ろうかな」 掘込「山中先生、お先に失礼しますよ」 さわ子「はーい、お疲れさまでしたー」 さわ子「さて、私も帰ろっかな」 さわ子「それじゃ失礼します」ガラッ 先生「お疲れさまでした」 いちご「あ、先生今帰り…?」 さわ子「そうよ、若王子さんもあんまり遅くまで残ってちゃだめよ」 いちご「…わかりました」 さわ子「気をつけて帰るのよ?」 いちご「…はい」 さわ子「それじゃあね」 さわ子「受験生の担任ってやっぱり大変なのね」テクテク さわ子「掘込先生もよく私たちの担任やり通したもんだわ」テクテク さわ子「さてと」ピッ さわ子「あ、ガソリン入れないと」バタン さわ子「最近ガソリン高くて嫌になるわ」キュルルル さわ子「自転車通勤にしようかなー」ブロロロ さわ子「ダイエットにもなるし」ブウーン ガソリンスタンド さわ子「142円・・・」 さわ子「はあ、食費削るしかないわね」 さわ子「とりあえず外食は無しで」 さわ子「コンビニもやめとこ」 さわ子「スーパーで何か買って米だけ炊けば安上がりなのよね~」 さわ子「・・・」 さわ子「彼氏欲しい」 スーパー さわ子「作るか出来合いのものを買うか」 さわ子「どっちにしよう」 さわ子「うーん」 憂「あれ?山中先生?」 唯「ほんとだ!さわちゃ~ん」 さわ子「え?唯ちゃん憂ちゃんじゃない」 唯「どうしたのこんな所で」 さわ子「買い物よただの」 憂「晩御飯の買い物ですか?」 さわ子「そうよ、憂ちゃん達も?」 憂「はい」 唯「さわちゃんは彼氏と一緒にご飯食べるの?」 さわ子「」 憂「ちょっとお姉ちゃん、プライベートな事に踏み込んじゃ駄目だよ」 さわ子「彼氏なんていないわよ!」 唯「そうだったの?」 さわ子「ぬぐぐ・・・」 憂「ご、ごめんなさい」 さわ子「いいのよ、悪いのは唯ちゃんだから」 唯「うっ」 憂「今日はおひとりなんですか?」 さわ子「・・・そうよ」 憂「じゃあ家で一緒に食べませんか?」 さわ子「え?」 憂「その、予定が無いなら家で一緒に食べて行きませんか?」 さわ子「いいの?」 憂「勿論ですよ、二人分も三人分も変わりませんから」 さわ子「憂ちゃんなんて良い子なの」 さわ子「生まれてくる順番を間違えたわね貴方達」 唯「え~そんな事ないよね憂?」 憂「そうだね、よしよし」 唯「えへへ」 さわ子(やっぱり間違ってる) 憂「こんなもんかな」 唯「憂アイス買って~」 憂「しょうがないなあ」 唯「これとこれと・・・」 憂「ひとつだけ」 唯「ぶ~ぶ~」 さわ子「あんまり買わないのね」 憂「家にも材料はあるので」 さわ子「すごいわね憂ちゃん、高校生とは思えない」 さわ子「あ、私のところにお嫁に来てもいいのよ?」 憂「え?えーっと・・・」 唯「憂は私の物だから駄目だよ!」 さわ子「はいはい」 憂「ふふ」 さわ子「それじゃ行きましょうか」 唯「さわちゃんの車久しぶりだね」 憂「そうだね」 さわ子「そう言えば前にも乗せたことあったんだっけ」 唯「マラソン大会の時だね」 さわ子「あ、あの時唯ちゃんのせいで」 唯「あわわ、しゅ、しゅっぱーつ!」 さわ子「・・・まいっか、じゃあ出発!」ブロロロ 唯(危なかった) 唯「楽チンだね」 憂「ありがとうございます、先生」 さわ子「お礼を言うのはこっちの方よ」 唯「はっ!」 さわ子「どうしたの?」 唯「暖房でアイス溶けないかな」 さわ子「ええ?溶けないと思うけど・・・」 唯「溶けると駄目だから今食べちゃおうかな」 憂「ドライアイス貰って来たから溶けないよ」 唯「なんと!」 憂「もう、お姉ちゃんの行動はお見通しだよ」 唯「なんてしたたかな子」 さわ子「さすが憂ちゃん」 憂「いえそんな」 唯「憂にはかなわないや」 平沢家 さわ子「着いたわよ」 憂「ありがとうございます」 唯「ありがと~」 さわ子「どういたしまして」 憂「それじゃ上がってください」 さわ子「ええ、お邪魔するわ」 さわ子「あ、車ここに停めても大丈夫?」 憂「はい」 さわ子「警察が来ませんように」ピッ 憂「じゃあご飯作るので適当に待ってて下さい」 さわ子「はーい」 唯「何して遊ぶ?さわちゃん」 さわ子「勉強しなくていいの?」 唯「・・・せっかくさわちゃんが来たんだし今日くらい遊んでも大丈夫だよ!」 さわ子「・・・担任としてはこの時期に遊んでる生徒を見るのって複雑ね」 唯「ぶれいこうだよ!」 さわ子「無礼講の意味分かってる?」 唯「さあ?」 さわ子「うーん」 さわ子「ちゃんと勉強するのよ?」 唯「分かってるよさわちゃん」 唯「じゃあゲームしよ」 さわ子「何の?」 唯「ギターフリークスだよ」 さわ子「ああ、あのゲームセンターにある」 唯「コントローラーも買ったんだ」 さわ子「この手のゲームって実際に楽器やってる人には嫌われてると思ってたけど」 唯「でも楽しいよ!」 さわ子「そうよね、意外と面白いのかも」 唯「じゃあまずはね~」 さわ子「最近のゲームってすごいのね」 唯「さわちゃんも歳だねえ」 さわ子「うるさい」 唯「さわちゃん上手い上手い」 さわ子「なかなか面白いじゃない」 唯「でしょでしょ」 憂「お姉ちゃん、先生」 唯「なに?」 憂「ご飯出来たよ」 さわ子「あら、早いのね」 憂「下準備してから買い物に出かけましたから」 さわ子「何から何まで完璧ね、私も憂ちゃん欲しい」 唯「駄目!」 2
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59話 ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 朝礼台の上で向かい合う、下斗米規介と吉橋寛和。 「……本当、なんだな?」 「あ?」 規介が寛和に尋ねる。 「本当にあんたにジャンケンで勝てば、生きて帰れるんだな?」 「……ああ。勿論だ。嘘はつかねぇよ」 「……分かった」 「それじゃあ、行くか?」 寛和の問いに、こくりと規介が頷いた。 「セット」 朋佳が開始の合図を送り、二人が身構える。 他の生存者達は固唾を呑んで勝負を見守る。 そして、ついに始まった。 「さーいしょーはグー」 互いに「グー」を出す。 そして。 「ジャーンケーン……」 「ポン」 寛和は「パー」 規介は「パー」 「あいこ」。 「…………~~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!」 ガクガクと規介の身体が大きく震え出し、股間から染みが広がりアンモニア臭のする液体が染み出す。 目から大粒の涙が溢れ、その顔はしわくちゃになってしまった。 (怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいこわいこわいぃいいい!!!) 規介の心は完全に恐怖に支配された。 ジャンケンぐらい彼もやった事はある、だが、「命が掛かっている」と言うだけで、ジャンケンはここまで恐怖を感じるものになるのか。 (こんなにこわかったっけ!? ジャンケンってぇ!? つーか何だよこれ……殺し合いなんだったんだよぉ!? 俺が二人も殺したのは……生きて帰るためだろうがよぉ!? なのに、こんな……ジャンケンなんかで決めんなよ……こんなの、完全に運じゃん) 「あーい」 (運に運命、任せるしかねぇじゃん!) 「こーで」 (生きたいじゃん……逃げ道ねぇじゃん) 「しょ」 (出すしかねえじゃんよぉおおお!!!!!!!) 寛和は「グー」 規介は「チョキ」 寛和の勝ち。 ニヤリと、寛和が嗤う。 朋佳が、右手に持ったリモコンを規介に向ける。 「……ふっざけんなよお……」 短い電子音の後、規介の首が飛んだ。 【下斗米規介 死亡】 「はい、次ー上がってこー」 死体処理を行う兵士を尻目に、寛和は次のプレイヤーを呼ぶ。 二番手は、都賀悠里。 悠里の身体は小刻みに震え、その顔には恐怖の色が滲んでいた。 行きたくない。やりたくない。でも、やらなければきっと殺される。 「おねーさん」 「……行って、くるね」 巴にそう言うと、悠里は震える足に必死に力を込めて、朝礼台の上に足を進める。 そして、ついさっきまで規介が立っていた場所に立つ。 「おーう、本当にエロい格好、エロい身体だぜ。 こんな状況じゃなければベッドに誘いてぇぐれえだ」 「……どうも」 「……じゃあ、行くか」 「セット」 第二回戦が始まる。 悠里は泣き出しそうなのを必死に堪え、身構えた。 「さーいしょーはグー」 互いにグーを出す。 「ジャーンケーン……」 「う、ああぁあああああああぁあああああ!!!!」 恐怖を振り払うためか自棄になったのか、悠里は叫んだ。 「ポン」 寛和は「グー」 悠里は「パー」 悠里の勝ち。 「……あ……あ」 勝った、と、信じられないものを見るような表情を悠里は浮かべた。 朋佳が左手のリモコンを悠里に向けて操作する。 爆破の時とは異なる電子音の直後、首輪が外れ朝礼台の上に金属音を立てて落ちた。 悠里の首にあった冷たい感触が消える。 「都賀悠里、生きる。」 朋佳が悠里に告げた。 そして、ギャラリーから歓声がわく。 「やった、やったよぉ……!」 悠里もまた、泣きながら喜びの声をあげた。 「それでは、あちらの方でお待ち下さい」 朋佳が指差した先には「合格者席」と書かれた小さな看板と、ロープによる囲いが有った。 勝った者はあそこで残りの勝負の様子を見届けろと言う事だろう。 兵士二人に誘導される中、悠里は他の生存者、特に、行動を共にした巴達に向かって叫ぶ。 「巴! みんな! 絶対勝って! 勝ってね! 一緒に生き残ろう!!」 それを聞いた巴や他の島役場組も頷く。 とにもかくにも、これで寛和の言葉が嘘では無いと証明された。ジャンケンで寛和に勝てば首輪を外して貰える。 「はい次。劉恵晶。上がってこい」 寛和が恵晶を呼ぶ。 恵晶は覚悟を決め、朝礼台に上る。 (こんな所で死にたくない……ジャンケンに負けて死んだ、なんて……笑い者にも程が有る。 今まで傭兵やってきて、時には身体も売ってきたのは、ここでこんな死に方するためなんかじゃない) 絶対に勝って生き残る、と恵晶は心の中で誓う。 「セット」 そして三回戦が始まる。 「さーいしょーはグー」 「ジャーンケーン」 「ポン」 寛和は「パー」 恵晶は「グー」 寛和の勝ち。 「え、ちょっ……」 血の気の引いたその表情のまま、恵晶の首が宙に舞った。 【劉恵晶 死亡】 「はい次。舘山瑠夏」 「うぅう……!」 四番手の瑠夏が呼ばれる。 「……行ってくる」 「ああ」 リクハルドにそう告げると、怯えた表情のまま瑠夏は登壇した。 「セット」 「やああぁあちょっと待って! ちょっと待って!」 「さーいしょーはグー」 「ま、まだ心の準備がっ……!」 「ジャーンケーン」 「ポン」 寛和は「チョキ」。 瑠夏は。 「……おい、何だそりゃ」 寛和が呆れた顔で指摘するのは瑠夏の出した手。 パーなのかチョキなのか良く分からないものである。 恐怖と緊張、そして焦燥の余り、瑠夏は自分でも良く分からない手を出してしまった。 寛和に指摘され、自分の手を見る瑠夏。 「……はは、何なんでしょう、これ?」 涙目で寛和に訊く瑠夏。それが彼女の最期の言葉となった。 「ちゃんと出せやボケ」 首と胴体が泣き別れになった瑠夏に向かって吐き捨てるように寛和が言い放った。 【舘山瑠夏 死亡】 「ああ、舘山さん……!」 「……ルカ……っ」 「……」 瑠夏の死に際し悲しみを露わにする合格者席の悠里、そしてリクハルド。 巴は無表情では有ったが少しだけ目を細めたので、その死に決して無関心と言う訳では無いようだった。 「あのな、後出ししたりちゃんと出さなかったりしてもアウトにするからな? ……それじゃあ次、レオノーレ」 「……!」 「レオノーレさん……」 「……大丈夫よ守矢君……絶対、生き残ろうね……」 朝礼台へと向かうレオノーレを、心配する面持ちで見詰める守矢。 この殺し合いで初めて会った彼女だが、いつ死ぬか分からない中、共に行動してくれた。 身体も重ね、温もりを感じ合った。 死んで欲しくなど無い、生きて欲しいと守矢は願う。 それはレオノーレも同じであった。 朝礼台の上で、寛和と向かい合うレオノーレ。 「またこりゃエロい格好に身体だよなァ。お前、15歳だったっけ? まさにロリ巨乳だな。 お前あの守矢って竜人のガキとヤったんだろ? 気持ち良かったかぁ? ああ、首輪に盗聴器が有ってな、お前らの会話は聞こえんのよ」 「……気持ち良かったわよ?」 「へえ、正直だな」 「だから、絶対生き残って、もう一度守矢君とする」 「……そうかい」 「セット」 五回戦が始まる。 「頑張れ……レオノーレさん、勝って……勝って!」 守矢はレオノーレに声援を送る。 レオノーレは顔を守矢の方へ向け、微笑みながら頷いた。 「さいーしょーはグー、ジャーンケーン……」 「ポン」 寛和は「グー」。 レオノーレは「チョキ」。 寛和の勝ち。 「あ、あ……レオノーレ、さ……」 絶望の表情を浮かべる守矢。 最期の瞬間、レオノーレは守矢の方を向いて、笑みを浮かべた。 「――――ごめんね、負けちゃった」 笑みを浮かべながら、泣いていた。 そして、首が飛ぶ。 「レオノーレさああああああああああああああああん!!!!」 守矢少年の悲痛な叫びが校庭に響いた。 【レオノーレ 死亡】 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 目次順 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 吉橋寛和 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 岩岡朋佳 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 原小宮巴 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 都賀悠里 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ リクハルド 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 舘山瑠夏 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 下斗米規介 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 深谷明治 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 舩田勝隆 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 長沼陽平 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ レオノーレ GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 白峰守矢 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 保土原真耶 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 劉恵晶 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 沢谷千華 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 油谷眞人 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~ 前:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 七塚史雄 次:ひろかずの言うとおり~しんげき~
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≫106二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 09 09 03 タキトレ「あそこに居るの会長とルドトレさんじゃない?あんなことをする関係だったんだ……知らなかった……」 タキオン「時々私はキミが不安になってくるよトレーナー君。私達だって人のこと言えた関係ではないだろうに」 タキトレは天然を発揮して顔真っ赤にして、タキオンは搾乳とかやってた自分たちがあまり言えた話じゃないと若干呆れるよ ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part197【TSトレ】 ≫12二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 10 24 55 適度な運動と適度な睡眠、そして美味しいご飯を食べれば健康だ。 でも、どうにも眠れない時もある。 困ったことにそれが寂しい時だったりすると、俺ことダイワスカーレットのトレーナーでも自分の身体を持て余してしまうのだった。 「……やるかあ」 俺はのろのろと押入れから抱きまくらのカバーを取り出し、その中にビニールに入れた砂のパックを入れる。 段々と重みを増していく抱きまくらを、ベッドの上に引き上げ、更に砂のパックを詰めた。 女の子ひとり分より、ちょっと重いくらいの抱きまくらを、俺は下敷きになる形で抱きしめる。 ウマ娘になってからの、お気に入りの安眠法だ。 「……ふぅーっ……」 じんわりと息が漏れる。 誰かに抱きしめられているような、押し潰されている感覚は、俺がひとりじゃない気がして安心感を与えてくれる。 俺の熱が抱きまくらに宿って、その安心感がゆっくりと昇っていく。 安心する気持ちが、足先まで広がって、抜けていくさみしさに身体が震える。 身じろぎをして、何かがばさりと俺の頭に降りかかった。 13二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 10 25 32 「んゃ……ぁう?」 それは着古した俺の……男の時のコートだった。 今は袖が余るので使っていないそれは、そういえばクリーニングに出す前だった気がする。 内側から生地の匂いと、男の匂いがする。 「うゎ……なんだろ、この……すんっ、すんっ……」 なんでだろう。嗅ぎ慣れた、気にも留めなかった匂いなのに、なんでかわからないけど安心する……。 ぽかぽか、ふわふわした気持ちが頭からお尻の先へ溜まっていく。気持ちいいが、じんわりと広がる。 「……んーっ……」 息苦しい。 コートを取ればいいのに、抱きまくらをどければいいのに、そうする気が起きない。 じんわりと汗をかきながら、色々な感覚が上りつめて……やがて、俺はまっしろになった。 「……こんなところで普通じゃないもの身につけてもなあ」 寝起きの俺は、びっしょりとかいた汗とか諸々を流してそうひとりごとを吐いた。 そういえばウマ娘の嗅覚は普通の人より鋭いんだっけ。 だからこれは一般の……一般の、ほら、そういう趣味なんじゃない?と自分に言い聞かせるのだった。 少なくとも、スカーレットにはバレないようにしないと……俺は枕カバーを洗い、コートを……ファブリーズせずに、そのまま掛け戻した。 うまぴょいうまぴょい ≫94シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 10 58 15 駄文失礼します。 「ただいま〜」 「おかえり、シチー。」 「とりあえず、お風呂入り…」 その時、アタシの目に衝撃的な物が映り込んでいた。 「アンタ、それ…」 「ああ、これ?タトゥーシールだよ。」 とりあえず、安心した。アイツが男の時の感覚でタトゥーをしているのかと思って心配した。 「今度、入れるかどうかのお試しにしたくてさ。」 「ふーん…」 アイツの身体に、一生残る… 「アタシが選びたい。」 「へ?」「アンタの身体に一生残るんでしょ?なら、アタシが選ぶ。」「べ、別にいいけど。」 「だから、今はこれがタトゥー代わり。」 無理やり抱き寄せて、首元にキスする。いや、強く、強く吸う。痕が残るように、疵が残るように。 「ちょ…シチー、ふっ、んぅうう…」 アイツが吐息を漏らす。いい気味だ。アタシのものになって、アタシもアイツのものになったのに、黙ってタトゥーなんて考えるからだ。 アンタが誰のものか、ハッキリわかるまで、強く、強く。 以上です。ありがとうございました。 ≫147二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 30 02 「あっちょちょちょちょちょちょっやばいやばいやばい!」 「うわっしなりがやばいっすよ!そっち持って!」 「わかった!おおっ強いぞ!気張れセイトレ!」 「ぎゃー!3方向から引っ張るのきつい!腕がもげる!もげちゃう!」 「まだテグスは死んでないぞ!もっと引け!」 「うわわ、私も引っ張るよ!親父さんちょっとそこ持つから!」 「ぎぎぎぎぎ、とんでもない大物っすよベガトレさん!」 「あああああああああああ!!」ガリガリガリガリミシミシミシミシ ≫152二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 31 30 「函館行きたい」 「稚内で流氷みたいですわ」 「能登湖も行きたい」 「全部回ればいいだろ」 ≫153二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 31 47 「遠いですわ・・・でも網走にようやく着きましたわ・・・」 「マクトレお前よくそんな薄着でいられるな・・・?」 「ブラトレだってそうではありませんか」 「こいつはアホだし納得できるでしょ」 「アホなのは認めるけど俺のことなんだと思ってんの?」 「排熱器官。あー、そうだ次の列車は・・・嘘・・・運行取りやめ・・・」 「嘘だろ」 「よよよ✋」 ≫155二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 33 40 トレーナーちゃん、おっはよー☆ あれ?トレーナーちゃんもしかして…ついにウマ娘になっちゃったの!? …カワイイ~~!! 実はマヤね、他のトレーナーさんがウマ娘になっちゃうのが増えだしたころから 「もしトレーナーちゃんがウマ娘になったらどんな服を着せようかな」って 色々なのをノートに描いてたんだけど… この感じならマヤのをそのまま着せても大丈夫だね☆ ほらほら早く、マヤの部屋に行くよー! ブラも着けないとダメだし、あとメイクもちゃんとしてあげるからねー☆ トレーナーちゃん、照れちゃってカワイイ~☆ マヤトレ「夢か……」 ≫169二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 46 13 「久しぶりに三人で温泉にはいるね〜」 「そうだね、本当にいつ以来なのかな…」 「以前女子会のついでに行った時くらいだね」 「まあいいか、それはそれとして呑もうよ!」 「…じゃあ私お酒注ぐね」 「なら頼もうかな、酔い潰れたら私がはこぶよ」 元女トレーナー三人組の会話とかこんな感じかな? ≫170二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 47 35 「///」 「ほーらブラトレ真っ赤ですわよ!?どうするんですの!?」 「いやお前が・・・いやお前の提案じゃないなごめん」 「なんで俺たちここに来たの?」 「なんででしょう・・・」 「なんでだろうな・・・」 ≫172二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 53 53 タバコ「北海道か…久々だなぁ」 カフェ「前に来たことがあるんですか?」 タバコ「ん…冬ではなかったけどね…」 カフェ「そうなんですか…」 ケツ「待って…待ってください…なんで2人ともこの寒さ平気なんですか…?」 タバコ「…なんでだろうね」 カフェ「…なんででしょう」 ≫173二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 11 54 44 「……たしかにネイチャさんも北海道行きたいなー、なんて言ったけどさ。……冬に行かないの?」 「今しかやってないんだよ、この釧路の『まりも祭り』は!」 「まりもがかわいくて好きなのも飛行機で聞いたけど……それでも昨日思いついて朝から日帰りはだいぶ強行軍ですよ?」 「それも飛行機で話したでしょ?それにまりも音頭ノリノリで踊れるようになったじゃない」 「だって……一人でも行くっていうし」 「……ネイチャ。きっと付いてくって言ってくれると思ってた」 「それズルくない?……惚れた弱みかぁ」ボソッ 「……あと、冬の北海道はしっぽの防寒対策がまだ決まってないのもあって、私はこわい」 「そこは我慢しなよ。女の子なんだから」 「大人は色々と弱くなっていくんだよ……」 「よーーーく知ってますー」 ※実際の運行状況は知らぬ。これはウマ娘世界の話 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part198【TSトレ】 ≫98ガンギマリ頭スズトレ21/10/10(日) 12 29 17 「ねえスズトレちゃん!!風が気持ちいい!!」 「…はい、走るのって風が気持ちいいんですよ。本当に。」 朝7時。まだ日が低く、冷たい風が頬を伝う中を2人のウマ娘…私と、フジトレさんが走っている。 時は数十分だけ遡る。 「フジトレさん健康なったってホント!?」 「あ、スズトレちゃんいらっしゃい。」 フジトレさん。私の先輩トレーナーであり、多くのトレーナーから「ママ」と慕われるほどの大のお節介焼きさん。一方で生まれながらに病弱体質を抱えていて、ずっと苦しんできていた。 そんなフジトレさんがウマ娘になり、それと同時に健康になったとグループLINEに入った。 飛び出さないわけがない。だってフジトレさんには私も何度もお世話になってたし、だからこそフジトレさんが解放された事が喜ばしかったから。 「うわーすごいガスマスクないのに揚げ物作った跡がある!!」 「走ってきたんだから落ち着いて。そんなんじゃ咳き込むよ。」 「いや、でも、ケホケホ…」 「ああ、ほら言わんこっちゃない…今水持っていくね。」 「すみ、ません…」 興奮しすぎて咳き込む私の声を聞いてフジトレさんが動き出したのか扉の向こうからドタドタと音がする。多分ウマ娘の力にまだ慣れきってなくて余計な力がかかってるんだろう。だけどそれがかえって嬉しく感じる。 「ほれ、お水だよ。ゆっくり飲んでね。」 「ありがとう…ございます…ぷはぁ。」 「もう大丈夫かい?」 「はい、迷惑かけてすみません…」 「そんなこと気にしなくていいんだよ。僕がウマ娘になった話聞いてとんできてくれたんでしょ?」 「そうですね。とりあえずお祝いしたくて…」 「ならその気持ちだけで十分。ありがとう。」 フジトレさんがニッコリと笑う。女性になった事で笑顔が前にも増してすごい。正真正銘ママの笑顔と言うべきものになってる。 また大変な事になるだろう男性トレーナー組の理性を応援しつつ空になったコップをフジトレさんに渡す。 39ガンギマリ頭スズトレ21/10/10(日) 12 29 59 と、その時。ちらりと見たことの無い靴が目に映る。 「…フジトレさん、その靴は?」 「ああ、これ?病院の帰りに買った新しい運動靴だよ。今までは運動なんてどうやってもできなかったから。」 そう言いながら、フジトレさんが宝物のように靴を見る。 「…フジトレさん。ひとつ提案があるんですが…」 「うん?なんだい?」 「…少し走ってみません?」 そして、今に至る。 まあ走ると言ってもいきなり飛ばして体力切れとかなったらシャレにならないから、ジョギング程度。 大興奮してついついスピードをあげそうになるフジトレさんを抑えながら近場の河川敷を2人で走っていく。 「走るのってこんなに楽しいものだったんだ…!!」 「単純にウマ娘になったから、もあるとは思いますけどね。私みたいにウマソウルの影響が強いひと以外でもウマ娘になった事で走りたい欲が出た人は結構多いですし。」 「そっかあ!…僕もフジと並走できると思うかい?」 「当たり前です。ただ、運動不足はウマ娘になっても変わらないでしょうし、まずはどこまでやれるかは調べないとダメだと思いますけど…」 「そうだねえ…でももしダウンしてもフジやスズトレちゃん達がいるし、大丈夫かなあ。」 「…それはズルくないです??」 「何が?」 40ガンギマリ頭スズトレ21/10/10(日) 12 30 08 ピンと来てないように呟く。フジトレさんにそんな事言われて何も感じない人はいないと思う、少なくともトレセンには。 …でも、よかった。フジトレさんがこんな事を言える日が来て。 「どうしたのスズトレちゃん、嬉しそうな顔して。」 「いえ、なんでもないです。とりあえずそろそろ帰りましょう。」 「付き合ってくれてありがとうね、スズトレちゃん。」 「いえ、誘ったのは私なので。」 …どうか、フジトレさんのこの幸せが永遠に続きますように。 そんな事を願いながら、帰路へとつくのだった。 「ところでスズトレちゃん。」 「どうかしましたか?」 「帰るまでの少しの間だけなら全力出してもいいかな?」(オメメキラキラ 「…それで倒れられると私の問題なるので…」 「…そうかあ。」 初めて見たしょんぼり顔はきっちり脳内に焼き付けておいた。 ≫50二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 12 36 14 トゥインクルシリーズ。 そこは才能に溢れたウマ娘達が、 切磋琢磨し夢を駆ける場所。 『先頭は11番!逃げ切るか!』 誰もが夢見て、誰もが心を躍らせる。 『おおっと!ここで外から6番が上がってくる!』 そんな場所で俺の担当は、 『外が差し切るか!内が逃げ切るか!』 最後方、ぽつんとひとり、名前さえ呼ばないまま。 『壮絶な叩き合い!両者もつれ!そままゴール!!』 レースに負けた。 …何度も見た光景だ。 『すまない、俺の力不足だ。 マーチ、君にはちゃんと才能がある。 伸ばせない俺の責任だ。』 …何度も言ったセリフだ。 『大丈夫だ、あまり気にするな。 こうなる事は最初から分かっていた。 それに私にはまだ約束がある。 だから大丈夫、目指した一つの目標が通過点になった、ただそれだけだ。』 そう答える彼女の右手は、 悔しさを押し殺すように、強く握りしめていた。 51二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 12 36 51 「トレーナー」 その言葉でふと、現実に戻る。 「トレーナー、ウォーミングアップ終わったぞ。 …?何処か調子が悪いのか? まだその身体になったばかりだろ?悪いのであれば今日は…」 「いや、大丈夫だマーチ。 せっかくこんないい身体を手に入れたんだ。 試さないのは勿体ないだろ?」 「それはそうだが…」 マーチは少し不安みたいだが、納得してくれた。 「よし!それじゃあ早速、トレーニング始めるか。」 坂路やウッドチップコース、 いつも通りにトレーニングをこなして行く。 そして一通り終えた後、 ウマ娘になった身体で始めての並走に入る。 「いや、にしても凄いなこの身体… 人の時よりもずっと軽い…これならいいトレーニングに出来そうだ!」 「だがトレーナー、流石に昨日の今日での並走。 あまり無茶はするなよ?」 「わかってるって! んじゃ、とりあえず一周回ってみるか!」 52二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 12 37 20 練習コースを走る。 足がとても軽くて速い。どこまでも走っていけてしまいそうだ。 これならマーチの良い並走相手になれる。 そう思いながら第3コーナーから第4コーナー、 そして最終直線に入る。 あと400、あと300、 そしてラスト200に入ろうとしたその時 『走…り…たい…』 自分の中でなにが呟いた。 「トレーナー?大丈夫か?」 気がつくとその場に立ち尽くしていた。 「…へ?あぁ…大丈夫大丈夫! ちょっと慣れない身体にビックリしただけ。 このくらい余裕のよっちゃんよ!」 「ならいいんだが、さっきも言ったが何が起こるか分からん。細心の注意を払ってだな…」 「大丈夫だって!ほら早くしないと先にゴールしちまうぞー?」 「なッ!?いや待て!それはずるいだろ!」 少しだけ感じた違和感を抱えたまま、 今日のトレーニングは終了した。 ≫62ドベトレSSその121/10/10(日) 12 45 06 ここはメジロ家の車庫。 そこに、少し場違いと思われるような 二人が話していた。 「ドーベル、いつの間に免許取ってたの!?」 「まあね、意外とすぐ取れるわよ、ライアン。」 ○○の消滅から2ヶ月が経った。 その間にドーベルはバイクの免許を取ったのだ。 兄の忘れ形見であるこのバイクが 寂れてしまわないように。 この思いと共に風化してしまわないように。 「バイクかあ、私はちょっと怖いかな〜なんて」 「まあね、もう少し上手くなったらライアンも 乗せてあげるわよ。」 「いいの!?じゃあ楽しみにしてるよ!」 そんな会話をしながらバイクの点検を 終えるドーベル。そして、 「じゃあ、お昼までには戻ってくるから。」 「気をつけてね〜!!」 ドーベルはヘルメットをかぶる。 「うん。じゃあ、いってきます。」 63ドベトレSSその221/10/10(日) 12 45 38 あの手紙には続きがあった。 2枚目に記されていたのは、 「オレの部屋の机の引き出し」の文章。 最初から誰もいなかったような 屋敷の部屋を訪れ、引き出しを開けると、 そこには、ドーベル専用の 2年分のトレーニングメニューが記された ノートがあった。 なぜ、そのノートだけが残っていたのかは 分からなかったが、 ドーベルはこのノートの存在を 自分だけの秘密にすることにした。 もちろん内容はマックイーンの トレーナーさんに提案し、 トレーニングの内容に 組み込んでもらうようにした。 だが、ノートの所在だけは、 絶対に明かさなかった。 兄の存在が残るこのノートが 捨てられてしまうような気がしたから。 そうして今日も「秘密のノート」を忍ばせ、 ドーベルはトレーニングに向かう。 「兄さん、アタシ、今日もがんばるね。」 64ドベトレSSその321/10/10(日) 12 46 43 2ヶ月前、俺の身に「ナニカ」が起こった。 いや、正確には妙な違和感に襲われた、 という感じだが。 俺は元はマックイーンの専属だったのだが、 2ヶ月前から、ドーベルの面倒も 見ることになった。 この二つの出来事が同時に起こったこと。 心の隙間が埋まったはずなのに、 何かが足りない。 そんな違和感がずっと続いていたある日 の事だった。 ─────── 「なんですの、コレは?」 トレーナー室の机の上に置かれた 名無しのノートを見つけた。 俺ではない。 では、誰のだ? マックイーンとドーベルは もう少し可愛いノートを使っていたし、 もちろん、俺はこんなノート知らない。 純粋な疑問と興味に突き動かされ、 俺はノートを開いた。 65ドベトレSSその421/10/10(日) 12 47 38 「コレは……!?」 とてつもない量の情報量だった。 トレーニングに関するノートでは あったが、それだけでは無い。 栄養学に基づいた食事管理。 最新のスポーツ医学を取り入れた、 マッサージ方法。 そして、ドーベルの好きな物や 接し方などが事細かに記されてあった。 正直、俺と近しい 一種の狂気とさえ思える程の、 内容の濃さがあった。 「いや、そんなことより、 こんなの、ありえない!!」 そう、この違和感の正体は そんなことではない。もっと別の「異質」。 「この内容は、メジロ流……。 だけど、この見たことのない筆跡は一体……?」 トレーナーにはいくつかの流派が存在する。 その一つに「メジロ流」なるものがあった。 「今この流派を採用しているのは、 俺とライトレとアルトレの3人のはず。 だけど誰とも筆跡が違う……。誰だ……?」 門外不出の古くから続く流派。 それを知るのは限られた人物のみ。 「俺たち3人の他に「メジロ」がいる……?」 始まりは些細な好奇心。しかし、その気づきこそが 「ナニカ」が隠した「○○」を暴く鍵と なるのは、まだ誰も知る由は無かった。 ≫82二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 12 59 55 秋の運動会。本来はトレセン学園職員達の交流会、またはそれに類する小さな催し物であった。だが最近はその風情を変えている。何故なら──── ────生徒用の観客席が常設されるようになったからだ。なんなら実況にトゥインクルシリーズでお馴染みの人と解説まで呼ばれている。交流会の予算は増額されていない。つまり実況は勝手に来ているだけだし観客席は生徒達の自作である!!恐怖!!ウマ娘の決断力コワイ! 目当ては当然、ウマ娘化したトレーナー達であった。さあ、生徒達の目線の先、今リレーのバトンを受け取ろうとしているトレーナーがいた。 タイトレである!! 140cmとは思えない存在感を放っている彼(?)はバトンを受け取り懸命に走っている!後ろからはカフェトレ(ケツ)とマルトレでだいぶ遅れながらも快速で飛ばしてくるスズトレとブラトレの姿。タイトレは胸が揺れるのが体の前進運動の邪魔をして速度が上げられない。 「クソ、ここまでなのか!!負けたくない……!!」 悔し涙を流しそうになるタイトレに檄が飛ぶ。 「そうだ!!アタシのトレーナーなら!!諦めんな!!!」 「た、タイシン!!?」 そしてタイシンが投げ物を受け取ったタイトレは、意を決してそれを装着した。それは乳バンド!!ブラジャーによる下からの押さえ込みに対し上からの押さえ込みを行い揺れをおさえるスポーツ用品! 「ありがとうタイシン!!俺は勝つぞ!!」 闘志の火を再び灯したタイトレはブラトレスズトレの猛追をギリギリのところで抑え、リレーに勝利した────。 勝利後抱きしめられたタイシンの性癖は壊れた。 ≫99優しい彼と1/621/10/10(日) 13 06 26 古代から人間と酒は深い付き合いがある。最古の成文法である彼のハンムラビ法典にはビール売りの規定が定められ、アメリカで禁酒法が定められた時は違法酒場が乱立したというのだから、人間は酒というから離れることはきっとないのだろう。 「…………」 「…………」 重なり合う視線。瞳と瞳で通じ合う感覚は、考えていることが同じだからこそ発生するものなのだろう。今この瞬間において、自分は目の前の彼と担当であるアグネスタキオンよりも心で繋がっているような気がした 酒と人間が存在する限り消滅することのないものがもう1つ、いや2つ存在する。 1つは今自分と目の前の彼が居る酒宴の概念。互いに酒を酌み交わし、明日に立ち向かう活力を養うべく腹を割って楽しむことは人類が文明を形成する以前から育まれてきたものだ。 そして、もう1つ。 自分達に「速くやれ」という視線が突き刺さる。酒の勢いによって引き起こされる狂騒というものが、今この場を支配している。今この状態を産み出したのがもし神の意志とやらによるものならば、その神はとても愉快な思考をしているのだろうとそう思わずにはいられなかった。 100優しい彼と2/621/10/10(日) 13 06 56 喧騒に包まれる宴会場。不定期で会されるトレーナーたちの慰安会は毎回湧きかえるように盛り上がっているのが常だった。自分は養護教諭としての職務やタキオンとの実験を優先してきたためにあまり参加できていなかったが、それでもこういった宴の雰囲気は嫌いではなかった。 この場所では誰だって平等だ。無論、酒の場だからと言って全てが許されるわけではない。だけど、色々な人々が気兼ねなく話し合えるこの場が自分は好きだった。 「お酒、注ぎましょうか?」 「ありがとうございます先輩。申し訳ありません。注ぎにもいかず」 テーブルに肘をついて特に何かをするわけでもなく盛り上がっている宴会の様子を眺めていると、後ろからかけられた声に反応を返す。 優しげな声だ。こちらを労わるように温かみに溢れた慈母のような声。しかし自分にはわかった。彼女の声には少しばかり何かを期待するような感情があった。 声のする方に向いてみると、そこには徳利を持ったウマ娘が1人。ゆったりとした長髪の芦毛の髪を三つ編みにまとめて蒼い瞳をした彼女は今、悪戯に失敗したかのように少し不満げな顔をしていた。 「なぁんだ、気付いていたのかタキトレ。そうなら先に言ってくれ」 「先生含めて最近色々と騙されたものですから。オグトレさんも元気そうで」 「お前さんも元気で何より。色々とは気になるが、ま、とりあえず先に一献といこうか」 目の前のウマ娘は自分にとっての先輩で、トレセン学園でも屈指の人気を誇るオグリキャップのトレーナーでもあった。 隣に座ってもらった彼に酒を注いでもらい、二人だけの乾杯をする。グイッとお猪口を飲み干すと、カアっと喉元に熱が通り体に熱が籠っていくような気がする。目の前の先輩を一目見やると、上機嫌になりながら自分にとっては少しばかりキツイ酒を躊躇なく飲み干していた。 「随分と強いお酒ですね」 「こういう場で飲むなら悪くない酒さ。それに、お前さんの酔っている姿も少しは気になるからな」 「これでも養護教諭ですから。そう簡単に酔うわけにもいかないんですよ」 「それもそうだな」と口の端を上げて返す彼に、今度は自分から注ぐ。並々と注がれた酒をオグトレはまた一気に飲み干した。酒に強い人だ。彼とそういった席を共にする機会が少ないためかはわからないが、自分はこの人が酒で酔ったところを見たことが無かった。 101優しい彼と3/621/10/10(日) 13 07 25 「そういえばだけど、お前さん随分と変わったね」 「……同じことを先生にも言われましたよ。俺ってそんなに変わりましたか?あんまり変わりないと思うんですが」 持ち込んだ菓子をつまみながら酒を飲んで話をしていた自分に、彼から以前恩師から言われた言葉を同じよう言われる。自分としてはあまり変わっている感覚が無いが、もしかしたら他の人からすれば自分はわかりやすいほどまでに変わっているのかもしれないと疑問に思った。 「あの人ほど的確には言い表せない自信があるけどな。なんというかこう、欠けていたパズルのピースがようやく埋まったというか。最近、何かあったか?」 「そこら辺は秘密ということで何卒。俺にも恥ずかしい部分はあるんですよ。しかし、「パズルのピース」、ですか」 「ま、良いことってのは確かだからそのままでいいさ。……それより、どうしてお前さんは酒の席で〇ッキーを齧っているんだい」 「意外と酒に合って好みだからですよ。ささ、もう一杯」 互いに酒を酌み交わし、互いが好む酒の肴をつまみながら他愛のない会話を交わす。レースのこと、トレーニングのこと、最近どう過ごしているかまで気兼ねなく話していく。 最近はこういった宴席に参加できなかったために話そうとして溜めこんでいた話題を、彼は笑って優しく聞いてくれた。特に、以前自分と恩師が再開して喫茶店で真面目な話をしている時に自分の髪が青く発光していた上に、会話の内容をほぼ全てタキオンに聞かれていた話などは笑いを堪えて肩を抱いて震えていたぐらいだ。こういった包み隠さずに話していることに楽しく反応してくれるというのは彼の魅力の1つであるように思う。 そうして話していると、宴会の中心から響く喧騒の音が強くなってきた。ウマ娘となって鋭敏になった聴覚を傾けてみると、どうやら宴会での余興に王様ゲームをやろうという話だそうだ。しかし、宴会の参加者は50を超えている。全員が集まってくじを一斉に引くわけにもいかないとのいうのに一体どうやってやるのだろうか。 102優しい彼と4/621/10/10(日) 13 08 04 「オグトレさん。なんか王様ゲームの話がでてますけど、この人数でできるんですか?」 「ん?ああ、今回は参加者全員に番号を振って、ランダムで選出した2人に更にランダムで選んだお題をやらせるって形式らしいぞ。宴会場の入り口に名前と番号が書かれた紙が張り出されてただろ?あの番号を使用するらしい」 「ああ、そういうことで。自分はたしか17でしたけど先輩は?」 「私は15だな。そうそう当たることも無いし、気楽に行こうか」 宴会の余興で王様ゲームをするためだけにそれだけの準備をするというのだから、今回の責任者であるスズトレの力の入りようが解る。確実に当たらないということは無いが、今回は自分の師や更にその師匠であるトレーナーに復帰したダイタクヘリオス担当が居る以上、常識の範囲内でのお題しか出題されないだろう。多少空気は悪くなってしまうが、本当にダメなお題なら断ればいい。 「では一回目行きますわ。15番のオグトレさんと17番のタキトレさんでキスをしてくださいまし!」 会場がどっと沸きかえる。宴会が始まってから既に2時間以上。いくら中央所属のトレーナーである彼らも、大量の酒精が入った状態の頭でまともな思考を働かせることができる者はこの場にはほぼ存在しなかった。ほぼノリで行動するエリート集団がそこに居る状態だった。 しかも性別が変わったとはいえ両方とも男同士であるために忌避するよう会場にこのお題を拒否していいという動きは一切なかった。それどころか外見は整っているウマ娘同士のキスということで、一部のトレーナーからは何か期待するような空気が流れていた。 「……」 先程から黙って考え込んでいる隣の彼をちらりと見る。 きっとキスはしたくないが、だからといって頑なに拒否をしてこの場の空気を悪くしたくないのだろう。しかもこれは1回目だ。これを拒否してしまえば今後の流れを壊してしまい、今回の宴会の準備をしてきたスズトレの顔に泥を塗りかねない。彼にそういった状態を引き起こさせてしまうのは自分としても辛かった。 103優しい彼と5/621/10/10(日) 13 08 45 「……オグトレさん」 「……なんだ、タキトレ」 「目を、瞑ってくれませんか?」 だからこそ、ここは自分が動かなければならない番だった。いつも周囲に気を配ってくれて、恩のある彼に辛い役割を背負わせるわけにはいかなかった。 「それ、は、」 「俺、オグトレさんのことが好きです。いつも周囲に気を配ってくれて、こういった宴会の後も後片付けや皆の介抱もしてくれて、そういったところが大好きです」 「何を言って」 「だから、お願いします。目を瞑ってくれませんか?」 彼の発言をわざわざ遮ってまで言葉を続けて、頭を下げる。彼が将来このことで気にかけなくていいように自分が頼んだからやるように方向性を定めた。何か誤解をされるかもしれないが、それでも構わなかった。 「……わかった。後輩の頼みだからな。よろしく頼むよ」 「ありがとうございます。優しくします」 こちらを向いて、恥ずかしそうに頬を赤く染めて目を瞑る彼は、傍から見れば美少女にしか見えなかった。 承諾してくれたことに感謝をしながら口づけを交わす。唇が触れた瞬間ビクリと震えた彼の身体を手で支えて接吻をする。周囲の喧騒はもう気にならなくなっていた。もう彼が同じことをしなくていいように。今これを見ている者達に見せつけるように優しく、優しく互いの唇の感触をただ確かめ合うようにしばらくの間、それは続いた。 「……ぶはっ」 もういいだろうと思ったところで息を吸うために口を話す。 タキオン以外と交わした2人目のキスはアルコールと甘味の混ざったかのような甘ったるい味と臭いをしていた。 104優しい彼と6/621/10/10(日) 13 09 54 彼と接吻を交わして、少し経った後。 「先程は本当に申し訳ありませんでした……」 「まったくだ。お前さんがまさかとんでもない勘違いをしていたとは」 自分は誠心誠意の謝罪と反省を籠めての土下座を行っていた。穴があったら入りたいどころではなく、マリアナ海溝にでも沈んでしまいたいほどの後悔と罪悪感が今の自分には合った。 「まさか手にキスをするなんて方法があるとは……」 そう、自分は完全に失念していた。キスと聞いた瞬間に自分は口と口での接吻をしなければならないと考えていたが、何も対象が口である必要はなかったのだ。事実、彼はそう考えていたし、自分の後にキスをすることになったペアの中には手にキスをする者もいた。 しかも、 「しかも愛の告白をしてきたかと思ったら、接吻させてくださいのお願いだったとは。心配して損したぞ」 「返す言葉もありません……」 キスをする前にした自分の言葉。あの時は彼を傷つけたくないと自分の想いを隠さずに伝えてお願いしようとしていたのだが、彼には告白の言葉だと受け取られてしまったらしい。幸い、その言葉は会場の喧騒のおかげで他のトレーナーに聞かれることは無かったが、彼はキスをしている最中気が気ではなかったそうだ。 自分が2つも勘違いをして唇にキスまでしたというのに、許してくれる彼には頭が上がらない。自分を恥じて消え入りたい気分だった。 「顔を上げてくれ。間違えることはある。それよりも……」 「今は酒が飲みたいんだ。申し訳ないと思うんなら、一緒に飲んでくれないか?」 彼に促されて顔を上げると、そこには一升瓶とグラスを携えた彼の姿があった。 自分は彼の期待を裏切ってしまった。もしかしたら彼は自分の顔なんてもう二度と見たくもないのかもしれない。でも彼は自分を飲みに誘ってくれた。いくら飲んでも酔わない彼と一緒に飲めば、間違いなく自分は酔いつぶれるだろう。だとしても、今は自分と一緒に飲んでくれと言ってくれる彼の心遣いが嬉しくてたまらなかった。 「俺は酔い潰れちゃいますけど、それでも大丈夫ですか?」 「気にするな。いつものことさ」 確認の意味でそれでも一緒に飲んで良いかと聞くと、返されたのはいつもの様な優しい肯定。 彼にはかなわない。 そう思いながら席に着き、彼と自分のグラスに酒を注ぐ。 もう一度乾杯をして飲んだ酒は彼の心のように、熱く、暖かかな心地がした。 ≫164二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14 01 41 『カマキリライオンドラゴンの鱗』 『メカ邪龍の残骸』 『パラシンの毒』 『セイブルコンボの写真』 『カマドラゴンぬいぐるみ』 178二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14 06 15 スズトレ「ネイトレさん!あのぬいぐるみって今ある!?」 ネイトレ「ネイチャ。あれって自分の部屋?」 ネイチャ「ううん、荷物に紛れ込んでた……タハハ」 ヨンダー? スズトレ「!!借りてもいい?」 ネイチャ「はい。返ってくるならどうぞ」 スズトレ「ありがと!今度礼するね!」ダッ! アーレーー ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part199【TSトレ】 ≫9二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 14 21 47 (ウマ娘化した際のやり取り) 「やべぇカワカミ!!!俺の顔を見てくれ!!! 「まぁまぁまぁ!その姿は私の憧れた白馬の騎士様!!!」 「そうなんだよ!凄いだろ!「「でも!!!」」 「「身長が足りない(ですわ)!!!」」 「そうなんだよおおおおお!!!測ったけど149!!!こんな白馬の騎士は解釈違いだよなぁ!!!どうせならもうちょい低くなった方がまだネタになったよおおおおお!!!」 「その通りですわ!!!トレーナー様、ついでにもう1ついいでしょうか?」 「あぁ来い!大体言われる事は分かってる!」 「「胸が小さ過ぎ(ですわ)!!!」」 「そうなんだよおおおおお!!!測ったけど71!!!こんな白馬の騎士は解釈違いだよなぁ!!!白馬の騎士ならしっかりと分かるくらいはあるはずだよなぁ!!!ウマ娘になったからって緊張しながら胸を触った俺の純情を返してくれええええ!!!!!」 ≫115二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 15 24 02 フクトレ「今日のゲェムはぁ↑キィャサリィィンでぇす(若本の真似)」 スズトレ「75点」 マルトレ「おっ高得点?200点中?」 スズトレ「7500点中」 フクトレ「10点で良くない??泣くぞ」 マルトレ「ともかく、これパッケージ的に放送できんの?やばそうな感じするけど」 スズトレ「そうですね……ちょっとえっちな感じがします」 フクトレ「ん?スズトレもう一回言って?」 スズトレ「え?だからちょっとえっちな感じが」 フクトレ「……まあいいこのゲームなんと対戦できます。2人にはこーぉーれをやっぁってもらいますぅ(突然の若本の真似)」 マルトレ「対戦?」 スズトレ「対戦?あと3点です」 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part200【TSトレ】 ≫18二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 16 00 03 この地を造られた 御言葉に感謝。 誰をも招かれて 行く道照らす いのちのことば たたえよ。 140-90-55-80。 人として生きられた 御言葉に感謝。 言葉と行いで 御恵み示す いのちのことば たたえよ。 140-90-55-80。 原書に記された 御言葉に感謝。 時代をつらぬいて 御神を示す いのちのことば たたえよ。 140-90-55-80。 言葉の壁超えた 御言葉に感謝。 時代は動いても常に輝く いのちのことば たたえよ。 140-90-55-80。 女神に生かされて 御言葉に応え、 感謝と喜びの 杯飲もう。 いのちのことば たたえよ。 140-90-55-80。 ≫40二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 16 09 15 いつくしみ深き 友なる頭サイゲ野郎は 罪、咎、憂いを 取り去りたもう こころの嘆きを 包まず述べて などかは下ろさぬ 負える重荷を いくつしみ深き 友なる頭サイゲ野郎は 我らの弱きを 知りて憐れむ 曇り悲しみに 沈めるときも 祈りに答えて 慰めたまわん いつくしみ深き 友なる頭サイゲ野郎は 変わらぬ愛もて 導きたもう 世の友われらを 棄て去る時も 祈りにこたえて 労りたまわん ≫101シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 16 28 25 駄文失礼します。完結編です。 その後、何度か走る機械があって、レースでも走ってみたがあの時のような事は起こらず、あの時ほどの切れ味のある末脚もないまま、スプリングステークス前日を迎えた。 「…今ん所、デビューの時みたいなことにはなってないけど……」 「うん、心配掛けてごめん。明日のレースで、ちょっと考えよう。これからのレースのこと。」 「……怪我したら、許さないから。 」「…うん。」 彼女と、そんなやり取りをしてから私は眠りについた。 「おい、こっちを見ろ。」 "んっ…貴方…は…" 「俺は、お前だよ。」 私の目の前には以前の、男の姿をした私が、見たことない生き物を連れて、立っていた。 「お前、このまま走り続けるのか?そんなこと考えてるなら今の内に諦めろ。」 なんで… 「どうせ、失敗する。ドラムだって失敗した。それにシチーのことだって、もっといい人に預けられなかった。」 「こんな、ろくでもない奴に入れ込んで。このままじゃシチーが幸せになれる訳ない。」 そんなことない、私はどれだって諦めないよ。 「そんなこと、お前に出来るのか?俺から生まれた、シチーの劣化コピー以下の癖して。」 "へ?" 「お前は、俺の中に作られた、投影されたシチー像が元になってるんだよ。シチーへの憧れの結果、自分の精神内で作った理想のシチー像。それがお前だ。」 102シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 16 29 49 "そんなこと、有り得るはずが…" 「もちろん、そんなこと有り得るはずがない。だが、ウマ娘になって、女の肉体とウマソウルの衝撃が重なりあった結果、人格ともいえる構造になって俺から主導権を奪った。それが、性自認の速さへの回答だ。」 そんな…奪ってなんか… 「そうだな、俺が今ここにいる以上、正確には入れ替わったんだろう。だけど、現時点で俺の意識はお前のせいで出てこれてない。その結果。」 そいつが、私の7日間の思い出に指を指した。 「こんな酷い勘違いを生んだ。これ以上、みんなを、シチーを失望させる訳にはいかない。今すぐに…」 "けど、尚更余計に諦められない。 だって私は、シチーと同じ側だから。" 「同じ、だと?」 "そう、確かに私は歪な人格かもしれない。けど、そんな私が生まれたのは確実に、あの瞬間だった。" 私が、指を指す。ウマ娘になったその日に起きた、彼女とのやり取りを。 "彼女が、私の諦めない心の原動力になってる。その彼女が、一緒の側に居てくれてるんだ。なら、どんな理由があっても私は、絶対に諦めないよ。" "シチーを幸せにすることも、ドラムを続けることも、レースを走ることも、全部、ひとつ残らず、諦めない。" 「呆れたな。親すらいない、そんなやつに出来るはずが…」 その時、変化があった。状況を静観していた、4足の未知の生き物が、こちらに寄ってきた。その長い頭をこちらに擦り付けて、懐いてきてくれたのか…? そいつと頭を合わせた途端、そこから、そいつの感情が流れ込んで来た。 失望、未練、悔恨、怒り、怒り、怒り、怒り、怒り…。 期待に応えられなかった、身を焼き尽くすほどの、怒り。 "そっか、貴方も、諦めたくないんだね。" その生き物は、身震いひとつすると、私の眼を見つめてきた。 103シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 16 31 02 "…もう一度、もう一度やってみよう。今度は、私もいる。一緒に、進もう。" その生き物は、光の珠に姿を変えると、私の中に入っていった。 夢の中でぼやけた像だった私が、ひとつの形を象っていく。 「私の中から…もうひとつの温もりと、鼓動を感じる…」 「アイツが、まさかそんな…」 「で?アンタはどうするの?」 「……アイツが信じるなら、もしくは…でも…」 「…良く考えてみれば、おかしな話だった。私は確かに彼女から生まれたような物。だけど、その最初にはアンタ、いや"俺"の感情がなければ成立しなかった。"俺"の諦めたく無い気持ちがなければ、アタシの精神の核は生まれなかった。」 …そういや、ドラムを辞めないよう説得したのもシチーだったか。 「だから、ここいらで私と一緒に、もう一度、諦めずに進んでみよう。」 "俺"は、首を捻ったあとにこう続けた。 「……良いだろう、俺は、お前の中から、お前を見てやる。お前がどこまでやれるのか、それを見定めてやる。ただし…」 「ただし…?」 「シチーは何があっても、幸せにしろ。それが、"私"と俺の契約だ。」 「当たり前でしょ。死んでも幸せにしてやる。」 "俺"は、その言葉を聞くと私の影に溶け込んでいった。 私の中の鼓動は、3つになった。 104シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 16 32 02 朝起きると、アイツは一筋の涙を流してた。 「どう…したの…?」 「勝つよ、今日。」 憑き物が落ちたアイツの顔は、朝日に照らされて、一際眩しく見えた。 人並み、いやウマ並ならぬウマ娘が、ターフに揃いゲートに入っていく。G2重賞、スプリングステークス。G1とまではいかずとも、非常に大きな舞台。 だけど、不思議と緊張は無かった。身体が軽くて、脚に力が漲る。ようやく、私の身体になったような感覚に、私は心を踊らせていた。 ゲートが開く、皆一斉にスタート切ると、私は最後方に回った。 デビュー時の脚質は、より私の本能的に適したもので、その結果、マイルでの追込という稀有な走り方を選択することとなった。 "最終コーナーまで脚を溜めきる。" それが、それだけが、私の作戦だった。 特にレースに関わることなく、最終コーナーに差し掛かった。 "そろそろ、仕掛けるか。" バ群の中の切れ間にこの脚で切り込んでいく。そうして、バ群の中に突っ込んで行く内に、聞こえるはずのないドラムの音が聞こえた。大小様々の音が、リズムを刻んでいた。 105シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 16 33 30 私は、内なる興奮を抑えつつ確かめる為に、耳をすませた。結果、ドラムの音ではなかった。レースの音だった。優駿たちの息づかい、足音、そして、心臓の鼓動。それらが重なり合って、私にはドラムのように聞こえたのだった。 それに気づいた私の興奮は、最高潮になった。答えは単純。私は、この中で、誰よりも上手く─ 「シンボリマティリアル!最後方から突然現れた!凄まじい末脚で駆け上がっていく!!」 ドラムが、叩ける!!! 期待、解放、歓喜、歓喜、歓喜。 あらゆる興奮が、私の中で、鼓動となって、リズムを刻む。 まるで、雷のようなリズムが鳴り響く中、一際大きな鼓動を轟かせながら駆け上がっていく。 その鼓動で、私の中のリズムがより研ぎ澄まされる。私を取り囲む全ての音が、雷鳴のようなジャズを奏でていた。 そして、ついに─ 「今回、初の重賞レースを勝ち抜きました。これから、そして今の貴方から一言!」 「…私はシンボリマティリアル。」 心の赴くまま、興奮に任せて口を開く。 「ターフで、私の鼓動が聞こえたら、私が来た合図だ。」 私の、ウマ娘としての新たなセッションが始まる。その瞬間を、新たな「シンボリ」への雷鳴で迎えた。 以上です。ありがとうございました。 ≫166二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 17 26 21 「私は変わったわ、ウマ娘になって私は、力を得ました。今までの私とは違います」 「さあ、行くわよ、カワカミ!私たちの王子様はあの夕陽の向こう側に!」 「私たちの力で、捕まえてみせるわよ!」そう叫びながら一緒に走りこみ 「私の理想の王子様?ふふ、よくぞ聞いてくれました!私の理想の王子様はですね、私が甘えたいときには甘えさせてくれて、優しく抱きしめてくれる包容力のあるかたがいいわね。でも時には私に甘えてくれると嬉しいわね。真っ白い肌にスラっとした身長、私よりも身長が高い方がいいわ。それでいて甘いマスクでry」 「ええ、かしこまりました。では早急にこの案件は対処しますね。何か、私に意見でもあるのですか?(キッ」(あ、あわわ……男性の方と話すと、緊張してしまう……う、上手く話せないわ……) 「ふふ、今まで男性で話せなかったけど、ウマ娘になった方なら話せるわ!さあ、一緒にトレーニングをしましょう!今の私たちならこの体を使ってトレーニングに活かすこともできるわ!」 とりあえず、婚活カワカミプリンセストレーナーの台詞をざっと考えてみました ページトップ part○○~○○はこちら ページトップ
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「38度3分・・・」 体温計を見ながら、心配そうに母さんは言った。 「おかしいわね、つかさの時は、すぐに治ったのに・・・」 ふ~む、つかさの風邪をうつされたのに、つかさの時より長引くなんて不公平だ。 いつもと変わらない天井を見ながら、そんな事をボーと考えていた。 学校を休んでもう五日も経つ、授業はどれぐらい進んだのだろう。 今までこんな長い間学校を休んだ事がなかったので、早く学校に行きたいな・・・ そう思う一方で、少し安堵している自分がいる。 こなたと会っても、まともに顔を見られないかもしれない・・・ よだれを舐めた日からどうしても、こなたを意識してしまう。 「明日病院でちゃんと診てもらったほうがいいわね。食欲はある?」 「ない・・・」 「でも、何か食べたほうがいいわ!おかゆを作ってあげる」 「それより、もっと甘い物が食べたい。アイスとかチョコレートとか・・・」 こなたのよだれを舐めた日以来わたしは、甘い物が無性に食べたくなっている。 その他の物は、あまり食べたくない。 母さんは、それを見て心配している。 だけど、体が甘い物を欲しがっているのだから許して欲しい・・・ 「アイスは昨日全部食べてしまったでしょ。 しょうがないわね、夕食の買い物の時に買ってきてあげるから・・・」 結局、母さんが作った。おかゆは2,3口しか食べられなかった。 おかしいな、風邪なのに喉も痛くないし鼻水もでない。 でも胸が、ドキドキして顔がポカポカとする。 そして、食欲がないのに甘い物は普段どおりに食べられる。 でも、何か物足りない感じがする。本当に、風邪なのかな? そう考えつつわたしは、深い眠りに落ちていった。 遠くでつかさの声が聞こえてきた。 どれぐらい寝ていたのだろう・・・ 学校はもう終わったみたいだ。 こなたは何をしていたのだろう・・・元気だろうか? 会いたいな・・・ そう考えていると、部屋の中に人の気配がする・・・つかさだろうか? 目を開けるとそこには、こなたの姿が・・・ 「かがみって意外と可愛い寝顔してるんだね~♪」 驚いた、私の願望が幻覚を見せているのでは?と思ったがそうではないらしい。 確かに、そこにいつものこなたがいた。 「何だよ!何しに来たんだよ!帰れよ!」 凄く会いたかったのに・・・ でも本人が目の前にいるとついそんな言葉がでてしまう、自分の性格が恨めしい。 そんな、わたしの考えなど露知らずこなたは、わたしの机から宿題を漁りはじめた。 ったく人の気も知らないで・・・ それを苦笑いしつつ見ていたつかさが、なにかに気が付いたように 「あっ、お茶と私が焼いたクッキー持って来るね。お姉ちゃん他に欲しい物ある?」 「そーね、甘いアイスクリームとか・・・って今アイスないんだった・・・」 どうも、ボーとして頭がよく働かない、さっき母さんが言っていたのに・・・ 「お姉ちゃん!アイスクリーム食べたいの?」 「でも、母さんが今ないって、後で買って来るって言ってたから気にしないで・・・」 そう言ったのにもかかわらず。 「じゃあ、私が買ってくるよ!!」 つかさは、目を輝かせてそう言った。 いいわよ!と引き止めたのにつかさは、アイスを買いに行ってしまった。 こんな、強引なつかさは珍しい。 どうやら、風邪を私にうつしたのを気にしているらしい。 ったくそんな事気にする事ないのに・・・ 「ねぇ、かがみ。つかさがアイス買って帰ってくるまでどれぐらいかかる?」 「そうね~たぶん、近くのコンビニでも15分ぐらいはかかるかな・・・」 「それじゃ、それまでの間私と二人っきりだね!」 普段は、見せない真剣な顔でこなたは私に言った。 「えっ!それってどう言う・・・」 ドサッ!! 私が、言い終わる前にこなたはベッドの上に腰を勢いよく下ろした。 碧緑の眼が、私を静かに見つめている。 少しの沈黙、私から何か言い出した方がいいのか迷っているとこなたが 「ねぇ、かがみ!かがみのかかってる病気って何?」 「そ、それは、つかさからうつされた風邪よ!」 こなたの真剣な表情のせいか、少し戸惑いながら答えた。 「・・・かがみが今かかっている病気は、風邪なんかじゃないよ。 風邪はね、喉の炎症や鼻水か主で、熱はそれほど高くならないんだよ。 まあ、今の説明はみゆきさんに教えてもらったんだけどね。」 確かに、喉も痛くないし鼻水もでない。熱は高めだ・・・ でも、風邪じゃないなら何なの?インフルエンザ? そう考えていると・・・ 「わたしね・・・かがみの病気の原因しってるよ」 こなたは、わたしの目を見つめながら話し始めた。 「この前の放課後、机で寝てたわたしを起こしたでしょ? あの時・・・机にこぼれていたわたしの“よだれ”―舐めたでしょ?」 たぶん第三者がそこにいたらわたしの顔が、真っ赤になっていくのが見られただろう。 こなた、あの時見てたの? いや、でも間違いなくあの時、教室にはわたし以外誰もいなかった。 こなたの質問に、私は俯いたままで答えなかった。 いや、答えられなかった。あんな事をしたのを認めたら、馬鹿にされてしまう、それどころかもう、軽蔑されて友達をやめられてしまう・・・ そう考えているとこなたの優しい声で 「笑わないし、馬鹿にもしないから本当の事教えて・・・」 私は無言で頷いた。 「そう、やっぱり・・・ねぇ、かがみ・・・目閉じて」 こなたがそう言うと、何の疑問も持たず私は目を閉じた。 くちゅ・・・ くちゅ・・・ 目を閉じ、敏感になった耳にそんな音が聞こえてきた。 歯ブラシをした後、口をゆすぐそんな音に似ていた。 何をしているのだろう?目を開けようか・・・ そう思っている時に唇に何かが触れたのが分かった。柔らかくて瑞々しい感触だった。 目を開けた時には、こなたの顔が目の前にあり、私とこなたの唇が触れ合っている。 キス・・・ こなたに、キスされちゃった。 そんな状態なのに私は、こなたの碧緑の眼を見つめながらなんて綺麗なんだろう。 こなたの目の中に吸いこまれてしまう・・・そんな事を考えていた。 キスをされたその直後、こなたの口から私の口へと温かく甘い液体が流れ出してきた。 ゴクッ・・・ ゴクッ・・・ 真夏の暑い日、自分の汗が垂れてコンクリートに触れた瞬間に蒸発してしまう・・・ そんな日に喉の渇きを我慢しながら家に帰り、速攻で冷蔵庫にある冷えた麦茶を飲み干す。 私はそんな感じに、こなたの“よだれ”を咀嚼して飲み、そして求め続けた。 この時がいつまでも続きけばいいのにそう思っていたが、この至福の時間は終わり告げた。 触れ合っていたこなたの唇と私の唇が、ゆっくりと離れていく・・・ つっ~~~ 離れる時よだれの糸が一つ、お互いの唇の間を結んでいた。 放心状態・・・甘かった・・・純粋に甘かった。そしてこなたの味がした。 頭が、ボーとして心臓が壊れそうなほど動いている。 現実味がなく、この事を実感するために 「甘い・・・」そう声に出して言った。 しかし、自分の耳に聞こえてきたのはそれとは違う。 「あにゃfi・・・」 呂律が回らず、声の抑揚が定まっていない・・・ なにを言っているか分からないそんな甘い声だった。 この時誰かが私の顔を写真に撮っていたら、今年のお年玉&お小遣いの全てを払っても、いや、それどころか小さい時から貯めてある貯金を全て払ってでもわたしはその写真を買い取るだろう。 紅色に染まったその顔の半開きの口からは、よだれが垂れているのが自覚できる。 目の焦点は合っていないだろう。 そして、その目からは自分の意思とは無関係に涙も流れている。 惚けている顔と言うか・・・ 家族の前でも見せた事ないし、そしてこれからも見せることの無い顔をしていると思う。 その後何分間、茫然自失でボーとしていだだろう・・・ やっと、落ち着いてきた。 「こ、こなた、今なんだったの?」 質問したが・・・ 「かがみ、口んところ・・・よだれついたままだよ。 顔を洗ってきた方がいいよ。答えはその後だよ!」 なんだか、聞いたことのあるセリフだが、確かにその通りなので顔を洗う事にした。 冷たい水が、心地いい。洗面台で顔をよく洗い。 自分の顔を鏡で見る・・・ そこには、いつも見ている変わらない顔があった。 「よし!」 両頬を、両手で軽く叩き。気合を注入!! なんだか、今日はずっとこなたペースで、少し悔しい気分だ。 階段を、いつもの一段ずつ上るのではなく。二段飛ばしで駆け上がる。 ドアを開ける前に、一呼吸・・・ノブをいきよいよく回す。 ガシャ!! 「こら!!こなた、さっきの何なの説明しなさい!!」 「かがみ・・・説明するけど、気分はどう?なんだか元気そうだけど?」 また、話をはぐらかすつもりね。 ってあれ?言われてみればなんだか、体が軽い。 熱も全然ない気がする。 さっきまでが嘘のように元気でいつもと同じ感じだ。 いや普段より調子いいかも・・・なんでだろ? 混乱している私を、横目にこなたは話しだした。 「なんでキスをしたかだよね? それはね、治療のためだよかがみ・・・ この前の放課後、かがみはわたしのよだれを舐めて吸収した。 でも、そのあと再び吸収してないから起きたんだよ。 ・・・“禁断症状”がね」 今日の、昼ごはん何を食べる?私はチョココロネだよ。 そんな、何気ない会話するような感じでこなたは言った。 「ちょっと待って!!こなた、今わたし混乱してるかも・・・ えっ~と、つまりこなたのよだれには特殊な能力があってそれを舐めたから “禁断症状”が起きたって事なの?」 そう言いこなたの顔を見つめるが・・・ そこには、ポカンしたこなたの顔が・・・そして 「くっ・・・ふっふはははははっ!」 最初は、小さな笑い声がそして笑い声はどんどん大きくなっていった。 「うふふふふふふ・・・・ あははははははっははははは・・・・くッ苦しい!」 腹を抱えての大笑い。 「な、なんで笑うのよ。さっき、こなたの言った事をまとめるとそう言う事じゃないの!」 「ふふふふふっふもっふ・・・でそんな特殊能力のある私は、危険な組織から身を狙われて戦争ボケ男の軍曹にでも護衛されるのかな?それなんてラノベ?」 「なによ!わたしは本気で聞いてるのよ。ちゃんと答えなさいよ!」 「ごめん、ごめん。かがみが、あまりにユニークだったからついね でもね、わたしにはそんな特殊能力なんてないよ。 つまり原因は、かがみにあるんだよ。」 「わ、わたし?」 「そう、かがみのかかっていた病気はね。別に珍しい病気じゃないんだよ。 人類のほとんどがかかってきた。病気・・・・」 そう言うとこなたは、少し深呼吸をした。そして・・・ 「・・・“恋の病”だよ――― わたしの、よだれが特殊だからじゃないよ。 かがみが、わたしのよだれをまた舐めたい。 好きなわたしのよだれを・・・ その願望が禁断症状の理由だよ」 私の目を、直視しながら優しい顔でこなたは言った。 「ねぇ、かがみ。この前の放課後に起こしてくれた時、わたしは見たいアニメが始まる て言って飛び起きたよね。でもね、その日は見たいアニメはなかったんだ。 かがみと目があった時にね。真剣にでも愛おしくわたしを見つめるその眼をみてわたし そのまま熔けるんじゃないか、そう思って恥ずかしくなってついそんな叫び声をあげたんだ」 少し恥ずかしそうにそう言いこなたは、間を置いてからまた口を開いた。 「かがみ・・・もしかして、あの時・・・ 友達としてじゃなく、恋の対象としてわたしの事好きになったんじゃない?」 それを聞いた私は、言葉がでなかった。 確かにあの時、よだれを流したこなたの寝顔を見た時に感じたのは、今までに感じた事のない感覚だった。その時は、分からなかったが今は分かる。 わたしは、柊かがみは泉こなたが好きだ。心の中でそうつぶやいた。 だが、それが言葉となって発声できない。 こなたとわたし喋らない二人、沈黙だけが、私の部屋の住人という感じだろうか・・・ やっと何か言おうとしたその時こなたが 「おっと!!もうこんな時間!!見たいアニメ始まっちゃうよ!! あっ、今回は恥ずかしいからじゃないよ。本当に見たいアニメがあるんだ。 つかさには悪いけど、クッキーはまた今度食べるって伝えといてね」 こなたはそう言うと、何事も無かったように立ち上がり部屋のドアを開けて出て行った。 出て行く時に「明日から、学校に出て来られるよね。楽しみにしてるよ!」 そういい残して・・・ つかさが帰ってきたのは、結局それから1時間後だった。 「おねぇちゃん、ごめん・・・アイスを買って早く帰ろうとして近道したら迷っちゃった・・・ せっかく、買ってきたアイス溶けちゃった・・・」 半泣きになるつかさを慰めつつ私は、完全に溶けて液状になったアイスを一口飲んでみた。 甘い・・・だけどこなたの方が・・・ いつの間にか、元気になった私をつかさや母さん達は喜んだが 理由を知っている私は少し複雑だ・・・ その晩わたしは夢を見た 最近いつも見る夢だ どこなのか知らない奇妙な街で・・・ 私とこなたが・・・ 二人で踊っている夢 でもその日の夢は少し違っていた 踊りながらわたしとこなたはキスをしている それが踊りの一部であるかのように・・・ この夢も目が覚めたあと鮮明に覚えているだろう・・・ コメントフォーム 名前 コメント いい作品~↑↑ GJ! -- 名無しさん (2009-09-26 10 04 35)
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┏【 冒険者カード 】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ (; ) (;;; ' __" ;;;;. ヽ|・∀・|ノ ,, ┏━|__|━┓ ┃ ││. ┃ ┃.炎炎炎炎 ┃┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 【ヨーコ】【マスコット】 暗黒料理人 02 01になると……?┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ようかん族の村出身 村を救ってもらったお礼についてきた 旅ようかん志望 あたい 暗黒料理の素質アリ
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雨を眺めていると傘をさしたハインツが走ってこっちにやって来た。 「どうした?そんなに慌てて。」 「はあ・・・はあ・・・えっと・・・帝国の・・・。」 息を切らしたハインツが途切れ途切れ喋る。 「とりあえず落ちつけ、焦っては伝えられるものも伝えられんぞ。」 エーリヒが水を差し出す。 ハインツはそれを奪うように手に取ると一気に飲み干した。 数秒ほど咳をした後に深呼吸する。 「良く聞いて、もしかして、もしかしてだけど帝国の空爆の前にこの島から出る方法があるかもしれないわ。」 一体何を言っているのだろう。 俺達は十分な長さの滑走路さえあれば飛べるというのに。 「あ、私達じゃなくてこの島の生存者の事よ。」 何だそう言う事か。 「で、どうするつもりだ?ヘリは止まれんぞ?」 「ヘリじゃなくて船よ、船。」 「船?どう言う事だ?」 「昔ベレッタ将軍に逢った時に言ってたのを思い出したの、丁度二日後に海軍の旗艦が帝都に向かうためにこの近くを通るのよ。」 「で、どうやってその船を呼び寄せるつもりだ?」 「打ち上げ花火をヘルムートに準備してもらってるわ、それを使えばある程度の遠くからでも見えるはずよ。」 「花火って・・・この雨でか?」 ハインツにしては随分と不安定な作戦だ。 「エーリヒ、雨は止みそうか?」 「そうだな・・・雲の具合からして明日には止みそうだが・・・。」 「なら問題ないわね、まあ私に任せておきなさい。」 まあこの件はハインツに任せる事にした。 それにしてもさっきから有沢は何をしているのだろうか・・・? 戻る
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その1 特殊シナリオ 女性書き手だけで天下統一せよ! 兵士A「大変です!ギャグ将軍がピカチュウモードに入ってしまいました!なにを言っているのかわかりません!」 兵士B「大変です!フランシーヌ様が劇場版コナンを見に行くと言って、勝手に休暇を取ってしまいました!」 お姉さま「だああああ、何でこうトラブルばっかりぃぃぃぃ!そもそもなんで私が君主なのー?助けて蟹座氏ー!」 蟹座氏「ああ、ごめんね、お姉さま。私は自分の仕事で手一杯なんだ。(困ってるお姉さまはかわいいなあ、クケケケケ…。)」 その2 ニコロワ軍(書き手ロワ仕様) 兵士「敵襲です!どうかご指示を!」 ガチホモ「いい男だけを捕獲してください。」 えーりん「………。」 愛媛「バルサミコ酢ー♪」 人外「ふぅん、雑魚どもなど俺が出るまでもない!貴様らで適当にあしらえ!」 兵士「一人ぐらいまともな指示出せやぁぁぁぁ!!」 その3 行商人 KuKio「ハロー。私、書き手ロワ国から来た行商人でーす。何か買いませんかー?」 お姉さま「んー、じゃあ、とりあえずなにがあるのか見せてよ。」 カレー@アニロワ1st カレー@アニロワ2nd カレー@スパロワ カレー@LSロワ カレー@ギャルゲロワ2nd カレー@カオスロワ4 カレー@書き手ロワ2nd お姉さま「…書き手ロワ濃くってインド?」 KuKio「ハハハ、なにを言ってますかハラショー。」